ですが、この計算にはかなり無理があります。詳しい分析は、8月23日に開催するNEアカデミー「エネルギー・ハーベスティングのすべて」で講師を務めていただく、NTTデータ経営研究所の竹内敬治氏のブログをのぞいていただければと思います。

 「エネルギー・ハーベスティングが発電を目的とした技術・デバイスである」――。

 私は、こうした考えは“誤解”だと思っています。エネルギー・ハーベスティングのウリは発電自体ではなく、この仕組みを導入した機器では、1次電池の交換や配線、メンテナンスといった手間が不要になることです。

小型品も大型品も性能向上


 エネルギー・ハーベスティングを実用化する取り組みの中で、重要なデバイスの一つとされているのが、蓄電デバイスです。薄型のLiイオン2次電池や、最近ではエネルギー・ハーベスティング向けに開発した電気2重層キャパシタ(EDLC)などが登場しています。このEDLCを製品化したのはセイコーインスツル(SII)で、従来品の1/3以下の内部抵抗で、約1/10のリーク電流を実現しました(ニュース・リリース)。2012年7月に量産を開始し、年産500万個を予定します。

 実は、EDLCの性能向上が進んでいるのは小型品だけではありません。例えば、日本ケミコンは、同社のEDLC「DLCAP」の新製品となる「DXE」シリーズにおいて、内部抵抗を同社従来品の半分以下に低減しています( Tech-On! 関連記事1)。Liイオン・キャパシタの改良も進んでおり、例えばJMエナジーは内部抵抗を従来製品の1/3に低減した「ULTIMO」の新製品を開発しました( Tech-On! 関連記事2)。

内部抵抗が小さい強み