2012年5月の台湾電子セクター上場企業のうち、各製品分野の代表的企業41社の売上高はYOY(対前年比)+1.8%、MOM(対前月比)+2.5%。ドイツ証券(以下「当社」)ではMOM+3%±5%ポイントを想定していた。例年はMOMマイナスであるため、やや強めの想定であったが、実績は想定範囲の中間値となった。米Apple社向けを中心としたEMS事業の好調が続く台湾Hon Hai Precision社はYOY+20%、MOM-4%。Hon Hai Precision社を除く41社の5月売上高はMOM+6.3%。

 最終製品では、これまで好調推移を続けてきたスマートフォンのうち、「iPhone」は「4S」から「5」への転換期にあることから生産量が低調推移(ただし想定線)、韓国Samsung Electronics社は新機種の「Galaxy S?」が好調である一方、既存機種が若干息切れ気味で、生産が従来想定比で弱含んでいる。台湾HTC社、韓国LG Electronics社などその他の主要ブランドも新機種投入を行っているが、想定を超えるような販売好調機種はあまり見られず、総量としては想定より低めの推移、下ぶれ幅が広がる傾向にあるのが気になるところである。

 iPhone5は、4月からようやく液晶パネルのバリュー・チェーンが動き始め、ジャパンディスプレイ、韓国LG Display、シャープなどが順次生産を開始している。ジャパンディスプレイが少量ながら間もなく出荷開始、韓国LG Display社とシャープは7月からパネル出荷を始めると見られる。最大の注目点の一つとなっているタッチパネルについては、部品構成などからいわゆる「インセル型」が採用されているとの見方に変わりない。リードタイムなどから勘案すると、「最速スケジュール」のパネル出荷は6~7月、組立は8月開始、との見方に変更はない。