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ファーウェイ急成長の謎を解く(2)

永井麻生子=おあしすランゲージラボラトリー代表
2012/06/25 00:00
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今回紹介する書籍
題名:解密華為
編著:余勝海
出版社:中信出版社
出版時期:2011年9月

 今回は『解密華為(ファーウェイの秘密を解きあかす)』の2回目。先週予告した通り、ファーウェイが「謎」「よくわからない」というイメージを持たれている理由の一つ、CEOの任正非氏についての紹介から始めよう。

 本書は10章から構成されているが、その第1章の題名が「ファーウェイの教父 任正非」だ。任正非は1944年、貴州省鎮寧県の貧しい農村に7人兄弟の長子として生まれた。任正非の父である任摩遜は1910年に生まれ、一族のうちで唯一大学へ進学した「インテリ」であった。大学入学後、抗日運動の高まりにより、摩遜は共産党の周辺組織に入る。その後父母の病死などにより1934年故郷に戻った摩遜は専門学校で教鞭をとり長年校長を務めた。また任正非の母も夫の影響を受け、教職についていた。任正非が幼い頃、中国では教師は給料も安く一家9人は極貧生活を送っていた。のちに任正非は「もし子供のころの環境がああでなければ、ファーウェイをここまでにできなかっただろう」と述懐している。

 だが、任正非の苦難は大学入学後も続く。大学2年の時に「文化大革命」が起こったのだ。父は幽閉され、一家は辛酸をなめた。その後1968年に大学を卒業した任正非は軍隊に入る。当時、人々に最も尊敬される「解放軍兵士」となったのだ。その後1982年に除隊するまでの生活は彼のその後の思考法にも大きく影響している。軍隊的な組織管理法はファーウェイの発展にも貢献した。それ故、彼は「軍人CEO」などとも呼ばれるようになったのだ。

 ただ、現在の彼に対する評価は「軍人」という言葉からイメージされる高圧的なものであるとか、攻撃的なものであるわけではない。本書でもたびたび任正非を「低姿勢」という言葉で評している。「軍人的」なのは表に見える部分ではなく、彼の思想の根幹をなす部分なのであろう。ただ、やはり軍出身者である、という事実だけで任正非を「よくわからない」「怖い」というイメージで見る向きはあるようである。

 CEOの生い立ちと人となりをご紹介したところで、ファーウェイ本体の成功の秘密に戻ろう。前回、本書から読み取れるファーウェイ成長のポイントを6つ上げたが、その3つ目の「研究開発重視」という姿勢について説明したい。

 本書によるとファーウェイは売り上げの10%以上を技術開発費に投入しているという。たとえば、少し古いデータになるが、2001年なら売上高255億元(約3825億円)のうち11.7%を技術開発費に投入している。この比率は世界中の同業者の中でもマイクロソフトに続いて2位だという。任正非は「強力な研究開発は強大な企業を作り、強大な企業は必ず強力な研究開発に支えられている」と言っている。研究開発は価値を作り、マーケティングは価値を実現する。企業の競争力とは煎じ詰めれば「いかに付加価値の低い製造工程を付加価値の高い製造工程に転じさせるか」にある、と本書では断じている。それまで付加価値が低かった工程を高付加価値の工程に変化させるのは、技術の力である。そこにファーウェイは徹底的に力を注いだ。その技術力が海外の大企業の目に留まり世界第2位にまでのぼりつめたのだが、ファーウェイの海外戦略については次週ご説明したい。

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