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 「MEMSの売り上げは、数量ベースで年間平均20%増加し、金額ベースで13%の安定成長をするだろう」とわれわれYole Développement社は発表した。

 MEMS業界は、今後数年間、安定して2桁成長をする勢いだ。システム・メーカーが、低コストで実装しやすいSiセンサやアクチュエータの利用価値に、今まで以上に注目しているため、需要が数量ベースで年間平均20%のペースで増加していることによる。しかし、われわれの最新の予想によれば、コンシューマ機器向けでは価格は急落を続け、今後6年間の収益の伸びは平均13%にとどまる。MEMS市場は2017年までに210億米ドルに達し、2011年の102億米ドルから倍増すると予想している。

 しかし、全体として堅調な成長が、一部の応用市場におけるダイナミックな変化を覆い隠していることも事実だ。インクジェット・ヘッドとDLP(Digital Light Processing)ミラーといった従来からある巨大な市場は成熟し成長が鈍化している。スマートフォンとタブレットPC市場の急速な成長によってもたらされた慣性センサの爆発的な売り上げがとって代わった。2017年には、慣性センサと磁力センサは、MEMS市場全体の25%程度(52億米ドル)を占めているだろう。

 しかし、ディスクリート慣性デバイスの売り上げは近いうちに成熟段階に入り、鈍化するだろう。加速度センサと磁力センサ(もしくは加速度センサとジャイロスコープ、あるいは3つすべて)を組み合わせた装置に需要を奪われるからだ。これらはASICやパッケージを共有することによってコストを下げられ、センサのデータを統合的に処理することによって、簡単にシステム・インテグレーションできる。このような「コンボ・ユニット」の需要が2017年までに17億米ドルに達し、慣性センサ市場の成長の大きな要因になるとわれわれは予想している。

 マイクロ流路の分野も、成長の主なけん引役になるだろう。現在のところ、年間平均23%での成長を見込んでいる。2017年には売上高が48億米ドルに達し、MEMS市場全体の20%程度を占めると予想している。最近の同分野への大規模な投資によって、ようやく食品や水中の病原体を識別したり病気を発見したりするための、低コストで高速なスクリーニング・テストがいくつか開発された。これらは近い将来、商業的な用途に広く採用されるだろう。