夏の到来を目前に控え、エネルギー消費を抑制するための「切り札」が、2012年4月下旬から動き出している。中小規模のビルや工場などを対象にしたBEMS(ビル・エネルギー・マネジメント・システム)の導入が一気に加速するのである。

ネット介し省エネ支援、「BEMSアグリゲータ」が要に

 ここにきて急に導入が進むのは「平成23年度エネルギー管理システム導入促進事業費補助金」が配られ始めるからである。一般社団法人の環境共創イニシアチブ(SII)が運営主体となり、2012年度と2013年度の2年間で総額300億円の補助金を交付する。交付対象にはビル用のBEMSだけでなく一般家庭用のHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)も含まれるが、具体的な導入目標数を設定して取り組むのはBEMSのほうである。

 BEMSの補助金を受けられるのは「高圧小口」と呼ばれる、契約電力が50kW以上500kW未満の中小規模のビルや工場である。BEMS関連の装置代金およびその工事費を対象に、総額の2分の1(上限250万円)あるいは3分の1(同170万円)が交付される。

 ただし、補助金を受けるには前提条件がある。新たに導入された「BEMSアグリゲータ」という組織と、エネルギー管理関連サービスの利用契約を1年以上の期間にわたって結ぶことである。BEMSアグリゲータとは、ビルや工場に設置したBEMSからエネルギー消費データなどをネットワーク経由で取得し、消費量を「見える化」したり節電対策を支援したりするサービス事業者だ。経済産業省は4月4日、最初の認定BEMSアグリゲータとして21のコンソーシアムを公表した(表1)。

表1●BEMSアグリゲータに認定された事業者
コンソーシアム名(または幹事会社名)コンソーシアムのメンバー
エナリスザイマックスビルマネジメント
ダイキン工業ダイキンファシリティーズ
日本IBMイオンディライト(エイ・ジー・サービス)、エディオン、NEC(NECネクサソリューションズ、NECネッツエスアイ、NECキャピタルソリューション)
ヴェリア・ラボラトリーズユアサ商事、加藤商事、石本建築事務所、日置電機
NTTデータ・カスタマサービスビル代行、NTTデータ、NTTデータ・ソルフィス
富士通富士電機、日新電設、トーテックアメニティ、富士通マーケティング、富士テレコム、扶桑電通
日立製作所日立キャピタル信託、日立製作所インフラシステム社(旧日立製作所日立情報制御システム社)、日立システムズ、日立ビルシステム、日立コンシューマエレクトロニクス、日立コンシューマ・マーケティング、東京ガス
イーエムシー
日本テクノ
九電工
大崎電気工業エネゲート、日本ファシリティ・ソリューション、日本カーボンマネジメント
パナソニックESエンジニアリングパナソニックシステムソリューションズジャパン、パナソニックES 産機システム(旧三洋電機産機システム)、日本管財、イーキュビック、環境経営戦略総研、伊藤忠商事、ビル代行、スマートエナジー
東芝東芝エレベータ、東芝ソリューション
オリックス
NTTファシリティーズ大阪ガス、エネット
日本ユニシス大和ハウス工業
ユアテックグローバル・コロキウム、ネクストソリューションズ、近計サービス、ES、イートス、NTTコミュニケーションズ、ラナベイク
エービル朝日機器
三井情報大和エネルギー、ガステックサービス、三井住友トラスト・パナソニックファイナンス(旧住信・パナソニックフィナンシャルサービス)
洸陽電機
アズビル(旧山武)日本IBM、日本電技、東テク