「いやいやノートパソコン人気どころじゃない、iPadなどのタブレットPCも人気だよ!」なんて話が出そうだ。しかし、説明していなかったが、本連載は中国全土における多数派の都市の目線で考えることを目指している。平均所得の高い上海と北京の人口は、上海大都市圏が2000万人弱、北京大都市圏が1500万人弱。合計すると日本の首都圏程度の数字に達するが、中国は全土で13億人超の人口だ。多数派である中堅の都市部だけでも、その人口を合計すると13億人超の半数に達し、これも桁違いのスケール。北京や上海といった大都市圏の市場規模は、目指す数億人のマーケットから見れば小さなモノ。中国の市場を紹介する記事ではしばしば「13億人のマーケット」とよく言われるのだから、せめてその中国市場への期待に応えられるように都市部のスタンダードを紹介していきたい。

 前回書いたことを簡単に紹介すると「日本と違って、毎年所得が上がって、物価も上がっている。その中で、デジタル製品は安くなり買いやすくなっているので、デジタル製品は毎年どんどんお買い得になっているように感じる」「せっかく買うのだから背伸びして高い製品を長く使おうという傾向がある」「だからCeleronは人気ではない」ということを書いた。

 補足すると、「Intel」か「AMD」かといえば、数年前まではAMDの方が人気な時期もあった。500人民元(約6500円)でお釣りが来るクロック可変の「Black Edition」のコストパフォーマンスが好評で、すごく人気だった。だが今はノートパソコンの時代なのか、2012年初より本格投入されたAMDの最新CPU「A8/A6シリーズ」はクロック可変だが、注目はされていない。

 オンラインショッピング普及の早い段階で、デジタル製品購入の主流はオンラインに移行した。リアルな電脳街にはノートパソコンショップもあるが、PCパーツショップもある。パソコン本体の値段が下がってノートパソコンを買いやすくなり、PCパーツショップは以前よりも寂しくなった。電脳街のショップはオンラインショップと価格勝負しなければいけない上に、デジタル製品が安くなり利潤を減らす努力も虚しくテナント料も人件費も上がっている。

買い物客が減った電脳街
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 一部のアジアの国々では自作系パーツショップが減ってノートパソコンを販売したり別業種に鞍替えしているが、中国ではそんな状況でもパーツショップが残っている。PCパーツショップで商売が成り立つ理由は、いくつかある。一つには、蜘蛛(くも)のようにPC初心者を待ち、初心者が知らないことをいいことに値段を高く設定し利益を上げるというのもあるにはある。中国語がまともにできない日本人を含む外国人もカモになるのでご注意を。