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エルピーダ倒産はエレクトロニクス激震のはじまり

エンジニアも個の時代に

竹内 健=東京大学 准教授
2012/03/15 09:00
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 エルピーダメモリが4480億円もの巨額の負債を抱え2012年2月27日に倒産しました。フラッシュ・メモリの置き換えを狙った新メモリReRAMを同社と共同開発する私はさまざまな影響を受け、このコラムも一カ月も間が空いてしまい申し訳ありませんでした。

 この間、エルピーダメモリに関してツイッター(@kentakeuchi2003)を通じて情報発信を行い、2週間の間に3000人もの方にフォロー頂くなど、大きな反響がありました。エルピーダメモリに関するツイートは「竹内健氏が語るエルピーダ倒産の原因」というTogetterに纏められ、10万人近くの方に読まれました。Togetterに纏めて下さった方は存じ上げませんが、ソーシャルネットワークの威力を実感しました。

 エルピーダ倒産の理由が「過剰品質で高価格」とか「DRAMは誰でも作れる」などと、LSIを開発している私達からすると、首をかしげざるを得ない論評が新聞などで書かれていたため、少しでも誤解を解きたいという思いで、ツイッターを書きました。

 最近は、私のツイッターを読んだメディアの方々が取材して下さるなど、エルピーダメモリ倒産に関する誤解はだいぶ解けてきたと思います。パソコンからスマートフォンへの市場の変化のためにDRAM市場の成長が鈍ってしまったのが倒産の根本的な原因。世界中のDRAMメーカーのどこもが需要の伸びの鈍化と供給過剰による価格低下に苦しんでいます。

 エルピーダメモリ以外のDRAMメーカーであるSamsung、Hynix、Micronは生産をDRAMからフラッシュ・メモリに切り替えることで、DRAM市況の悪化を耐えているだけ。エルピーダメモリの失敗は、フラッシュ・メモリの開発はしたものの、市場参入ができなかったこと。マーケティングや商品企画の失敗であることは理解していただけたと思います。

 さて、エルピーダメモリはDRAMビジネス一本に賭け、数年前には史上最高益を記録したものの、巨額投資が裏目に出て市況の悪化とともに債務超過に陥り、倒産しました。成功も失敗の原因も明確です。良い失敗というものはないかもしれませんが、実際に携わった方には、成功も今回の失敗も原因は明確で、きっと、次のステップではこの経験を生かされるでしょう。

 私がむしろ問題だと思うのは、システムLSIや携帯電話機など、将来に勝てる見込みもないまま中途半端に続けている事業です。液晶パネル、テレビ、パソコンなど、日本にはまだまだ多くの不採算の事業があります。

 積極的な投資をしなければ、巨額な赤字を計上することもないので、すぐに倒産ということにならないでしょう。しかし、ビジネスモデルが不明確のまま、投資も撤退もしないで中途半端に続けるというのは、現場で担当している方にとっては非常につらい。

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