プロボノは、広義には「専門家が無償で自身の専門サービスを提供すること」ですから、求められるスキルは多岐に渡ります。例えば、「料理人が被災地に足を運んで炊き出しをした」「大工が知人のNPO事務所の内装を無償で引き受けた」などの取り組みも、継続性さえあればプロボノ活動と呼べると考えていいでしょう。

(1)自身がビジネスで使用している(対価を得ている)スキルを提供すること
(2)スキルの提供が原則無償であること
(3)一時的でなく継続性を持って活動していること
(4)スキルの提供先が、社会貢献団体や公的な組織であること

 これらを満たす活動がプロボノの定義と、私は考えています。当初の「弁護士が…専門家が…」という定義と比べると抽象的で範囲が広がった感はありますが、「サラリーマンの俺には、関係ないか…」「技術者には無縁の世界だな…」というものでもありません。職業人なら誰でもできる活動なのです。

 長々と、「プロボノ」について説明してきました。では、「ソーシャル・リーマンズ」とプロボノにはどんな関係があるのか。それは、「社会との接点」にあります。

社会貢献活動からビジネス・スキルを学び、高める

 これまでこの連載で紹介してきたようにソーシャル・リーマンズは、

仕事の領域を社内外に自由に広げながら、“公私混同”を意識的にしつつ、仕事を思う存分に楽しんでいる人々

のことでした。つまり、自分の仕事やスキルを会社の中だけではなく、社外にも生かすビジネスパーソンです。この意味で、自分のスキルを社会貢献に活用するプロボノ活動は、ソーシャル・リーマンズが自身を表現する手法の一つというわけです。

 「ボランティア活動しても、儲からないでしょう。この不景気な時に何を言っているの」。そんな声も聞こえてきそうです。でも、実は、ビジネスと社会貢献活動は密接な関わりがあります。いや、「あってしかるべき」と言った方がいいでしょうか。

 社会貢献活動とは限りませんが、NPOの団体からビジネスパーソンが学べることは決して少なくありません。積極的にプロボノ活動に参加する人々からは、そうした声を聞くことが実は多いのです。NPOは非営利の活動ではありますが、やはり組織で動いています。ボランティアの取り組みが多いとはいえ、何かを行動に移すには活動資金や物資、人材を集める必要があるわけです。例えば、ご存じの通り、Webブラウザー「FireFox」を開発する米Mozilla FoundationはNPO団体。営利企業と同じようにソフトウエア開発プロジェクトを手掛けています。