1位 東芝、2位 ソニー、3位 三菱商事、4位 日立製作所、5位 住友商事、6位 シャープ、7位 三井物産、8位 NTTデータ、9位 野村総合研究所、10位 東京電力

 新年になると就職活動が活発化し、人気企業のランキングが様々な機関から発表されます。掲載した順位は、2011年の1月、つまり1年前に発表された、理系の学生を対象とした調査結果の一つです。このランキングをどう思いますか?

 私にとっては、かつて15年も勤めた東芝が1位なので、退職金もほとんど貰わずに辞めて、もったいない!感じです。東芝については最後に触れます。

 ランキングの中で商社は、ランキング発表の1年後の今でも安定していますが、メーカーは波乱万丈です。液晶パネルの急激な価格低下により、6位のシャープは2011年の中間決算は、前年同期の143億円の黒字から398億円の赤字に転落。

 9位の野村総合研究所はメーカーではありませんが、EUの金融ショックで親会社の野村証券が厳しい経営状態にあり、売却が取り沙汰されています。10位の東京電力は原発事故で実質的に経営破綻の状態とされています。粉飾決算で上場廃止が検討されているオリンパスは66位に入っていました。

 このランキングに投票した学生たちは、2012年4月に入社するわけですから、人気企業に内定しても、入社の時にはその企業はない、ということもあり得るのです。学生は安定志向が強いと言われていますが、予想はほとんどあてになりません。

 これは学生の見方に問題があるわけではありません。私はもちろんのこと、会社評価のプロである証券アナリストでさえも、以上のような会社の問題を予知することは難しい。まして、新卒で入社してから定年退職までの30年以上もの間、安定して存在する企業を予測することは、ほとんど不可能でしょう。

 古くは国鉄(JR)、銀行、郵便局、ダイエー、JAL、東京電力、電機メーカー・・・と、盤石に見えた会社があっという間に崩壊することは、もう、当たり前になっています。

 いま安定して見える企業も例外ではありません。無線通信が高速化してきていますので、通信キャリアも今までのような、盤石な経営とはいかないでしょう。インターネットの進化で、ブログやツイッターを通して、多くの人々がコストゼロで意見を述べることができる。今まで情報を独占していた新聞社や放送局などのメディアも厳しい試練の時を迎えます。

 公務員も例外ではありません。夕張市のように自治体が破綻することもありますし、国家財政が極めて厳しいのですから、役所の様々な仕事が効率化されたり民間企業へ移されたり。人員の削減も避けられないかもしれません。もちろん、教員も例外ではありません。弁護士も司法試験を通っても就職難の時代になっています。

 このように将来を予想することは極めて難しく、会社が潰れたり、事業の売却により、安定と思っていたキャリアが突然途切れたり激変するわけです。それならば、変化に耐えられる力をできるだけ若い時から身に付け、常に自分を鍛えていた方が良いのではないか。