ワールド・カフェは、移動できるオープンな場所でリラックスした雰囲気で話す新しいスタイルの対話手法です。知恵やアイデア、あるいはやる気やイメージは、会議室の中で生まれるのではなく、人々がオープンに対話を行い、自由にネットワークを築くことのできる「カフェ」のような空間でこそ創発されるという考え方に基づいた話し合いの手法です。

 対話をしながら「アイデア」や「気付き」を深め、新たな発見につなげられます。短時間で大勢の人数でも質の濃いコミュニケーションが取れるということで、研究者や実務家から幅広い支持を受けて世界各国で行われてきています。

 こう書くと、難しいように思われるかもしれませんが、要は「少人数での自由な話し合いを席替えしながら繰り返す」手法です。準備するものは、大きく以下の五つ。

(1)4人掛けくらいの大きさのテーブル
(2)大きめの模造紙
(3)マーカーペン(色とりどりで太めがおススメ)
(4)チョコや煎餅などのお菓子や飲み物(お菓子は小分けタイプが配りやすくてグッド)
(5)トーキング・スティック(話し手の目印になるもの、ぬいぐるみや風船やオブジェ)

です。

 お菓子や飲み物はカフェのようなリラックスした場にするためのツールです。これに加えて、ちょっとした音楽(個人的にはボサノヴァがおススメ)があると、普段の会議室の雰囲気がガラっと変わります。決まりきったスタイルあるわけではないので、代替できるものであれば何でも構いません。

模造紙に書き込みながら、人の話を聞く

 進め方は以下のような感じです。

 まず、カフェスタイルのテーブルに4~5人のグループに分かれて座り、司会者(ファシリテータと呼びます)が共通のテーマと、共通の問いを投げ掛けます。

席替えの方法
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 次は、それについて各グループで会話します。1回の会話時間は20~30分(これを1ラウンドと呼びます)です。会話では、発言をする人(1人です)がトーキング・スティックを持ち、テーマや問いに沿って普段考えていることを話します。

 それを聞いている同じグループの人たちは、話の中で出たアイデアや疑問などをテーブルに広げた模造紙に書き込んでいきます。もちろん、発言している人も話しながら模造紙に書き込んで構いません。

 1ラウンドが終了したら、席替えタイムです。ファシリテータの合図に合わせて、他のテーブルに移動します。ただ、グループの中で1人だけは「ホスト」として同じテーブルに残るのがルールです。次のラウンドはホストが新しいメンバーを歓迎し、このテーブルで前のラウンドに何が話されたかを新メンバーに伝えます。