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「日常生活で脳を閃かせるにはどうすりゃいいんだ?」を考えてみる

久保田達也=サイバー大学IT学部教授,イッツ代表,冒険家
2011/11/22 09:00
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 今回は日常生活を改善するだけで、“閃き”の能力をアップする手法をご提案しようと思う。

 閃きは何か新しいことに関心を持つことが引き金になる。いわゆる幼児が初めて見る物事に関心を寄せて、喜んでいる状態と同じだ。では、どうするのか。それには「アウェーに出ること」である。

 我々のような大人は、マンネリ化した日常では関心を寄せるような“ワクワクドキドキ”がなくなっているので、閃きが起きにくい。そこで小さなことでいいから未知の体験をすることで、脳細胞の呼び覚ましを計る努力が必要となってくる。そのワクワクドキドキがビジネスアイデアを出すことにつながるからだ。

 「アウェーに出る」とは、違う環境に身を置く事だ。人はいつもと違う環境に遭遇すると五感を活発に動かして、そこが何かを知ろうとする。その能力を呼び覚ましてやるのだ。

 参考になる実験がある。密閉された真っ暗な空間から脱出するゲームだ。30分ほど視覚以外の4感を使って脱出を計る。しかし、その空間から外に出て視覚を取り戻しても、敏感になった4感の情報収集能力はしばらく自分の感覚に生かされている。今までその環境にいながらそこで気づかなかった物事を、あらためて次々と発見して驚く。

 我々の生活環境においてアウェー体験、できれば遊びながらアウェー体験できれば、発想能力を訓練できる。日常のアウェー体験で一番簡単なのはと考えてみると、通勤経路を変えてみることが考えられた。つまり寄り道だ。

 どう変えるかは別段決めなくてもよく、風の向くまま気の向くままでよい。できれば毎日変えてみる。面白いと感じ始めたら好奇心が芽生える発想脳にギアが入ったと思っていい。好奇心で満ちた脳は道だけに関心がいくのにとどまらない。人、建物、イベント、空、商店など、ありとあらゆる世界を対象としたジャンルに関心ごとが広がってゆく。

 では毎日通勤経路を変えるとどうおもしろくなっていくのか、を考えてみよう。例えばウィンドウ・ショッピングだ。商店街を奇麗に飾られた新商品を見ながら歩くのだ。別に買うわけではなくただ見て歩く。「これは誰が買うのだろう」「これはどんな人が着るのだろう」「これはどんな人が考え出したのだろう」などと商品の秘めるなぞときをしながら歩くのだ。これをやると店舗アイデアや新商品アイデアを考案する実践的アイディア力が身に付く。これをフィールドマーケティングという。

 当然、店には訪問客がいるわけで、シャーロックホームズのようにその人物像を怪しまれないように一瞬で観察する。「この人はこの新商品をどのように使うのだろう」「この人のライフスタイルはどんなだろう」などを瞬時に推測してみるのだ。身なりや仕草から意外とわかるものだ。これをマンウォッチングといってライフスタイルの動向や新商品動向、新店舗動向など世の中の新しい流れを洞察できるようになり、アイデアの先取りに結びついてゆく。

 アイデアは他人の発言ではなく自分の日常に存在している。意識を変えるだけで身の前に見えている物事からいままで考えもしなかった何かが見えてくるものだ。見えているはずなのに脳が認識しないことをスコトーマ(Scotoma、盲点を表すギリシャ語)という。

 こんな技術者(スマホの新製品開発担当)の話がある。ある家電品メーカーに勤める技術者が携帯売り場をリサーチをしていると、女子高校生や若いOLたちがiPhoneの新製品を手に取りながら「かわいい」と連呼している。何故だろうと話を聞いてみた。

 彼女たちが「かわいい」とと言っているのはiPhone製品そのものでもモニター画面に映っているアニメキャラクターでもない。音声付きアニメ動画のストーリー、会話、効果音がかわいいと言っていることだと気づいた。そのとき彼は物や機能ばかりに新しさを追求していた自分に大きな見落としが合ったのにハッとしたという。そこで“動画のストーリーを見やすくする”工夫をスマホの次期最重要コンセプトとして取り組み始めたところ、テスト商品のモニター調査では好評だったそうだ。

 このように、通勤経路を変えるだけ、寄り道を楽しむことだけで、脳は閃きを取り戻す。ただし肝心なことは道を変えて面白いかどうかではなく、面白くしようとする意思にある。

 ためしに、今回記事にしたキーワードをマインドマップにしてみた。ところが、以下のように、なんだかわけのわからぬ図になってしまった。

 そこで、実際の日常マーケティングを記載することにした。

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