「TPP交渉参加阻止 JA中央会長会議が特別決議 日本各地でJA主催のデモ」
「TPPで医療格差・国民皆保険制度が崩壊と日本医師会が反対」
「TPPやグローバル化は格差社会をつくる」
「TPPはアメリカの陰謀」

 TPP(環太平洋連携協定)の交渉に日本が参加するかどうかについて、大論争が巻き起こっています。TPPは10年の間に関税を撤廃する「例外なき自由化」を目指しています。TPPに象徴されるグローバル化により、農業や医療などの日本の産業や制度が崩壊するのではないか。自由化が進むと、日本がアメリカのような格差社会になるのではないか。

 農業を専業にされている方は、いきなり関税ゼロになったら、存亡の危機なので心配されるのは当然でしょう。しかしながら、「グローバル化すると日本はダメになる」といった論調には、違和感を感じます。また、「グローバル化、絶対反対!」と主張する議員さんの話を聞くにつけ、「ポイントを外しているんじゃないの?」と白けてしまう方も多いのではないでしょうか。

 というのも、グローバル化は是非を議論する段階はとっくに過ぎていて、日々どうやって対応すべきか、という目の前の身近な問題だからです。

 私は大学という日本の「土着産業」に所属しています。大学はどちらかというと、今までは国境の壁に保護されてきて、グローバル化により既得権益が失われる産業に分類されます。立場からすると「TPP断固反対!」となるのかもしれません。そんなグローバルなビジネスから遠いところに居る私でさえも、グローバル化はとっても身近なこと。

 東大に限らず、日本の多くの大学の理工学部では、博士課程の学生のかなりの部分、場合によっては半数以上がアジアなどからの留学生です。日本の大学は、中国などに大学の分室を作ったり、中国の大学で開催される留学フェアに参加したり、積極的に留学生をリクルートしています。

 本音では、日本の学生が増えれば一番良いのです。でも、少子化に加えて、ゆとり教育による日本人の学力の低下、理系離れにより、留学生をリクルートしなければ、日本の理工系の大学院は成り立たなくなってきている。

 東大が海外の大学と同様に、入学を秋にして、留学生を入りやすくすることが話題になっています。これは、高校から大学に入る入試についてなのですが、修士課程・博士課程といった大学院については、既に、通常の4月の入学に加えて、留学生が入学しやすいように10月の入学を実施しています。