図1 樹脂と金属の接合技術「レザリッジ」のサンプル
図1 樹脂と金属の接合技術「レザリッジ」のサンプル
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図2 2011年9月15日に大阪で開催された「ものづくりパートナーフォーラム in大阪2011」
図2 2011年9月15日に大阪で開催された「ものづくりパートナーフォーラム in大阪2011」
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図3 ユニチカの融着封止成形
図3 ユニチカの融着封止成形
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図4 ニッセイ機工の精密溶接品
図4 ニッセイ機工の精密溶接品
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図5 立ち見も出る賑わいの技術セッションの様子
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 日本メーカーが誇る特殊な加工技術の1つに、金属と樹脂といった異種材料を接着剤を使わずに直接接合する技術があります。本誌2011年6月号特集「不可能な設計を可能にする加工技術」でも、東亜電化(本社盛岡市)の「TRIシステム」や新技術研究所(本社静岡県御殿場市)の「CB処理」を紹介しました。
 図1もそんな技術の1つ。ポリプラスチックス(本社東京)の「レザリッジ」です。樹脂との接合面に表面に微細な凹凸を設けた金属をインサート成形することで、強い結合力を実現しています。その特徴は、レーザによる機械加工で凹凸を設けて樹脂を食い込ませて接合している点にあります。他の接合技術が金属の表面を薬品などで化学処理するのに対し、レザリッジはレーザ加工するだけなので廃液の処理などが不要になります。海外からも注目されており、韓国企業などからも問い合わせがあるといいます。

 実はこの技術、恥ずかしながら私は、2011年9月に弊誌が開催した「ものづくりパートナーフォーラム in 大阪2011」に出展していた同社のブースで、初めて知った次第です。同フォーラムでは、この他にもそれまで知らなかった技術をいろいろ見ることができました(図2)。

 例えば、ユニチカも樹脂と金属の接合技術をアピールしていました。繊維メーカーのイメージが強い同社ですが、フィルムや樹脂にも長けています。樹脂・金属接合の他にも、樹脂の融着封止成形技術の展示がユニークでした。ねじやパッキンを使わずに筐体を封止して防水性を確保する技術です(図3)。曲がりくねった流路のような形状もケースとフタを貼り合わせた部分を封止成形すれば、ブロー成形よりも高い形状精度を得られるとのことです。

 極薄板の溶接で目を引いたのは、ニッセイ機工(本社神戸市)。同社が得意とするのは薄物や細い棒などをマイクロプラズマ溶接で接合する技術。ブースには30μmのステンレス箔の端部をつきあわせてマイクロプラズマ溶接で加工した円筒形の部品がいくつも並んでいました(図4)。ステンレス以外にも、チタンやニッケル基合金「インコネル」などの特殊金属の溶接なども手掛けているとのこと。国内でこうした薄物の精密溶接をこなす企業は少なく、メーカーの研究所や開発部門などの安定した顧客を確保しているようです。

 また、各社のブースの賑わいもさることながら、技術セッションは立ち見が出るほどの人気でした(図5)。始まる前には来場者の方の長い列も見られました。こうした光景を目にすると、日本の技術者の勉強熱心さやものづくりに対する熱意のようなものを感じられて、主催者側としても嬉しい限りでした。

 ここ数年開いているこのフォーラム、直近では2011年11月10~11日に東京で開催いたします(詳細はこちら)。78社が2日間にわたりそれぞれ自慢の技術を披露しますので、どうぞ足をお運びください。製品開発のブレークスルーとなるような新しい発見があるかもしれません。