(3)視座、視点、価値観の関係図

 価値観は視座との密接度が高いので、「ファミリーレストラン好みのお客さん」と「高級レストラン好みのお客さん」について図式化してみます。図には対象物、視点群、価値観、視座の四つが出てきます。図の右端の「レストラン」は対象物です。その左に視点群があります。その左が価値観で、左端は「レストランのお客さん」という視座です。中抜きの矢印は一貫した関心を示していて、視座からレストランを見通している感じを与えるイメージです。

 「ファミリーレストラン好みのお客さん」は、レストランに対してリーズナブルな価格帯で、料理の質はまずまずでよく、気安く、親しみやすく、あまり待たせることがないことなどを期待します。これらは「ファミリーレストラン好みのお客さん」の価値観です。そして、これらの価値観に対応する視点があります。

図 ファミレス好みのお客さんの価値観と視点

 一方、「高級レストラン好みのお客さん」は、店の雰囲気に高級感があり、店内が静かで、価格にあまりこだわらず、高級な料理が出てくることを期待し、また、ゆったりと過ごせて、丁寧な接客態度を望みます。

図 高級レストラン好みのお客さんの価値観と視点

 このように、たった二つの視座を取り上げていますが、たとえ同じ視点群でも視座による価値観の違いがはっきりと出てきます。また、関心の強い視点も視座によって大きく変わることが分かります。

(4)図からの思考

 以上のように、図は思考の結果を可視化したものですから、このような図を用いてグループの検討や自分自身のチェック、反省、発想などの思考に役立てることができます。

 さらには、この図を基にして、自分の思考を深めることができるはずです。すなわち、この思考方法は、仕事の上で出てきた対象物に対して、このような視座、このような視点、このような価値観を、具体的に、かつ視認しながら、思考を深めてみることができるという可能性があるのです。