2011年7月21日に、筑波大学発ベンチャー企業のソフトイーサ(茨城県つくば市)をはじめとする3社は、初心者でもすぐに使えるようになる、「パソコン向けの3次元入力デバイス技術(開発コード名「QUMA」)を開発中である」と公表した。このQUMA(クーマ)を適用した最初の製品は「3D(3次元)モーションキャプチャー装置にする事業計画を立てている」と発表した。

 今回の発表は、3Dモーションキャプチャー装置の製品化で、ある程度のメドをつけ、その利用の仕方を説明するビデオを編集・制作し、「YouTube」などの動画サイトなどで、その効果・性能などを公開するのが目的だった(図A)。

図A○QUMA技術を応用した3Dモーションキャプチャー装置のビデオの「YouTube」動画サイト

 同ビデオを公開した動機は、QUMA技術あるいは3Dモーションキャプチャー装置を中核とした技術開発に参加する国内・国外のパートナー企業を募集することだった。QUMA技術というプラットフォームのソフトウエア開発キット(SDK)をパートナー企業に提示することによって、QUMA技術をいろいろな分野で利用してもらうためである。

図○ソフトイーサの登大遊代表取締役

 ソフトイーサは、同社の代表取締役を務める登大遊(のぼりだいゆう)氏が筑波大学第三学群情報学類1年生の時に起業した大学発ベンチャー企業として有名だ。同時に、現在27歳の登大遊代表取締役(事実上のCEO、最高経営責任者)は、独創的なソフトウエア開発を目指す若手プログラマーなどにとってのあこがれの人であり、その生き様が目標にもなっている“伝説の人物”である。

 登代表取締役は、小学生の時にパソコンをもらったことを契機に、いくつかのプログラミング言語を使ってソフトウエアを自作した。高校生の時には、学校のLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)導入を支援するなどの実績を残した。高校時代に、パソコン雑誌に解説を書き始め、ゲーム作成用プログラミングの単行本数冊を執筆したり、携帯電話機向けのソフトウエアを書いてシュアウエアとして、“お小遣い”稼ぎをした。実態としては、お小遣いレベルではなく、立派な収入源となった。この収入の一部が、2004年に創業したソフトイーサの出資金の原資となった。

 登代表取締役は「ユーザーなどに尊敬される独創的なソフトウエアを作成することが面白くて始めた」という。実は、QUMA技術の共同開発に参加している開発者やクリエーターも異口同音に「面白いから開発している」という。そして「どれだけ儲かるかは結果であって、現時点では事業規模はわからない」と語る。

 多くの既存企業の製品開発の手法とは異なる、“天才”IT開発者集団の製品・サービス開発の経緯について、その独特の開発動機などを、登代表取締役に聞いた。