川下ではマザーボードが意外に健闘、ノートPCは苦しい滑り出し

 マザーボード(MB)大手各社の合計出荷数量は660万枚で対前年同月比(YOY)+16%、対前月比(MOM)-1%。主要4社中2社でMOM増加。YOYでも3社が増加となった。中国や新興国(東欧、アジア、南米)などのDIY(Do It Yourself:自作パソコン)市場におけるMB需要が比較的堅調であり、MB大手各社の合計出荷数量は「第2四半期がQOQ +8%と想定線を上ぶれている。7月はMOM減少ながら悪い数字ではない。

 7月のノート・パソコン大手各社の合計出荷数量は推定1320万台(YOY +14%、MOM -8%)と、MOM減少、YOY二桁増加である。第3四半期のスタートの7月は5社中4社(横ばい含む)でMOM減少となった。第3四半期はピーク感がないまま終わり、第4四半期の年末商戦向け需要も弱含みである。2012年の超薄型ノート・パソコン向けの米Intel社製次世代CPUによる民生市場での需要回復や、「Windows8」の発売による買い替え需要に期待したい、との見方も聞こえてきている。

 携帯電話アセンブリ関連の合計出荷数量は推定260万台。YOY +40%、MOM 横ばいである。2010年10月に49カ月ぶりにYOY増加に転じて以来、10カ月連続のYOY増加となった。デジタル・スチル・カメラ(DSC)アセンブリ関連各社は、4社中2社でMOM増収。円高の追い風も受け、日本ブランドからのODM受注は増加傾向が続いているものの、コンパクト・デジカメ市場自体のさらなる成長には期待しにくい状況となっている。

川上企業の動向

 半導体は、前工程ファウンドリでは台湾Taiwan Semiconductor Manufacturing社(TSMC)がMOM -3%(連結)、台湾United Microelectronics社(UMC)は同 -4%となった。後工程では、台湾Advanced Semiconductor Engineering社(ASE)が同 +4%、台湾Siliconware Precision Industries社(SPIL)は同 +5%。ほぼ想定線の推移である。

 台湾DRAM各社[Nanya Technology社、ProMOS Technologies社、Powerchip Semiconductor社(PSC)、Winbond Electronics社, Inotera Memories社]5社合計の売上高はMOM -11%。LCDドライバICのファウンドリ大手Vanguard International SemiconductorはMOM +2%。

 受動部品は、YOYでは7割強の企業で減収(集計対象企業7月売上合計:YOY -11%)、MOMでは6割強の企業が減収となった。受動部品各社の第3四半期売上高の見通しは、ノート・パソコン向けやマザーボード向け需要が想定よりも弱いため、当初の「QOQ二桁台の増収」という見解からややトーンダウンし、「QOQ +5%前後にとどまる」との見方が一般的になりつつある。またMLCCとレジスタについては、需要軟化により価格競争が再び激化し、第3四半期の販売単価(ASP)は -5%程度の下落を見込むところが多い。

 プリント基板(PCB)は8割の企業でYOY減収(集計対象企業7月売上合計:YOY -13%)、MOMでは6割の企業が増収となった。傾向は弱含みであるが、受動部品との比較では若干強めである。足元では、マザーボードやノート・パソコンのメーカーなどが、第3四半期の繁忙期にもかかわらずPCBの取り込みに慎重な姿勢になりつつある。最終需要が弱いことに加えて、中国国慶節や米国Back to school需要(新学期需要)に対する期待低下などに起因している。PCBメーカー各社は原材料価格上昇を製品価格に転嫁する予定だったが、弱含む需要を背景に、値上げ実施の難易度が増している。

 リチウムイオン電池関連では、7月売上高は上々3社が共にMOM増収となった。台湾Simplo Technology社と台湾Dynapack International社はYOYで3割を超える増収を継続している。牽引役はタブレットPC向けと超薄型ノート・パソコン向けリチウムポリマー電池である。供給不足により製品価格も相対的に安定推移している。また、タブレット最大手の米Apple社のサプライヤであることも一因である。このように、手掛けている品種と顧客層の違いが、足元の売り上げ動向の大きな差となって現れている。

 太陽電池関連は、セル5社中4社がMOM増収である。ウエハー関連は3社中2社がMOM増収。セル各社が年初来の高水準の稼働を維持(もしくは新工場を予定通り稼働)したことに加え、欧州での需要が想定以上に冷え込み、3月以降需給の悪化局面が続いている。足元は数量に底打ち回復の兆し見られるものの、価格が下げ止まる兆しはなく、厳しい環境は続く。

 LED関連は、川上メーカーは大手6社中5社でMOM減収、川下のパッケージ・メーカーは5社中3社がMOM減収であった。7月は、数量が想定通り伸びていない上に、単価下落に拍車がかかった。傾向として、数量ベースでは増加が続いているものの、価格低下速度がこれを上回り、金額ベースでは厳しい結果となっている。