赤澤亮正議員(自民党)「いつ辞めるんですか?大臣の価値を落としてますよ!」
海江田万里 経済産業担当大臣「私は、自分の価値はどうでもいいですよ、本当に。申し訳ない。言葉がね。私はどうでもいいです、自分の価値は。」

 7月29日の衆議院 経済産業委員会で海江田氏はこのように答弁しながら号泣してしまったそうです。自分勝手で言うことがコロコロ変わる上司。ピンチになると部下を守るどころか、梯子を外す。戦っている最中に、背中から刺すことも。海江田氏は、そんな上司の仕打ちに耐えかねて、感極まって泣いてしまったのでしょうかね。

 こういうダメ上司って、どんな会社にも居ますよね。上手くいけば自分の成果、上手くいかなければ部下のせい。会社の上だけ見ている上司を指して、「ヒラメ」「風見鶏」という言葉があるくらいです。MOT(技術経営)はマーケティング戦略や金融などの左脳系、知識をベースにしたマネージメントだけではありません。上司をいかにマネージメントするのかもMOTです。MBAでは組織行動論(Organization Behavior)という講義で、人の管理やリーダーシップについて学びます。

 理系のエンジニアにとっては、MOTの中でも経理や財務は数字が主体ですので、文系の人よりも得意なくらいです。マーケティングも理詰めで考える分野ですので、エンジニアの皆さんにとってはなじみやすい分野です。一方、上司のマネージメント、組織行動論は、人と人とのかかわり、右脳系です。エンジニアの皆さんには、上司に正論を言ったら、逆切れされた、といった経験があるでしょう。今回のコラムでは、エンジニアが比較的苦手とする、ダメ上司のマネージメントについて考えてみたいと思います。

 報道によると、周囲の猛反対の中、郵政の民営化を推し進めた当時の首相、小泉純一郎氏を参考にして、菅直人首相は反原発を推進しているとも言われています。小泉内閣で郵政民営化の担当大臣だった竹中平蔵氏は、郵政民営化を検討する国会や委員会では、野党だけでなく、与党からも袋叩き、猛反対にあったそうです。ちょうど現在の海江田万里大臣と似たような境遇でしょうか。

 しかし、当時の小泉氏が現在の菅直人首相と全く違うのは、普段は「敵の攻勢に耐えろ」と部下の竹中氏を叱咤激励する。そして、竹中氏が亀井静香氏のような迫力満点のコワモテにすごまれて、重大なピンチになると、小泉首相自らが敵の矢面に立って応戦し、部下の竹中氏を守ったそうです。

 反原発や郵政民営化の是非はともかく、上司はやっぱり小泉氏のように頼りがいがある人がいい、というのは誰しも思うことでしょう。郵政民営化の当時、小泉氏は「理想の上司」といった調査のランキングのトップだったのではないでしょうか。

 部下は上司を選べません。ダメ上司からは逃げられません。でも、上司をマネージメントすることは可能です。また、必ずしもダメ上司は悪い上司ではないと思います。