日本のMEMSメーカーの収益が14億米ドルを突破、中位層を独占

 仏Yole Developpement社の最新のMEMS企業ランキング(上位30位)によると、2010年のMEMS産業の成長率は15%に上ったが、それによる恩恵のほとんどを大手の企業が手にした。

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 衰えを見せない4大MEMS企業である米Texas Instruments社と米Hewlett Packard社、独Robert Bosch社、伊仏 STMicroelectronics社の売上げの合計は、2010年に37%増加した。大量のMEMS機器を大口の顧客に販売し、自分達よりも小規模な企業との差を広げるため、徐々に生産量を増やしてダイのサイズを小さくしている。これら四つの有力企業は、2010年に合計で約29億米ドル分のMEMS機器を販売していて、それは86億米ドルのMEMS市場の約3分の1を占める計算になる。

 しかし、日本の主要なMEMS企業も5位から8位を占め、4社のすぐ後を追っている。彼らは2億から4億ドルの売上げを持っていて、上位4社に対抗する勢力内では優位に立っている。パナソニックの電子機器部門は、他のサプライヤーが不況により低迷する中で新たな顧客を獲得し、電子安定制御に用いられる車載ジャイロセンサの分野で非常に大きな成長を見せた。また、パナソニック電工も加速度センサと圧力センサが好調だ。セイコーエプソンはインクジェットヘッドや水晶発振器、ジャイロセンサの有力企業だ。デンソーは今年、エアバック用の高加速度計と圧電形圧力センサの売り上げの伸びによって、順位を一気に上げた。キヤノンも、インクジェット市場はとりわけ成長している市場ではないものの、もちろん主要なインクジェット関連企業でありつづけている。今年はソニーとオムロン、村田製作所もランキング入りした。これら7社の2010年におけるMEMS機器の売上げは約14億米ドルで、世界のMEMS市場の売上げの約16%を占めている。

 MEMS市場の成長の大部分は、自動車産業が深刻な不況から大きく回復し、空になった在庫を補充したことによってもたらされた。それは、自動車関連製品のほとんどを供給する大手の一貫生産型機器メーカーを利することになったからだ。市場の成長につながったもう一つの要因は、メーカーがあらゆる種類の消費者向け携帯機器に慣性センサを急いで搭載しようとしたことだ。そして、そういったメーカーは信頼できる企業から確実に供給を受けることを好む傾向がある。このことは、MEMS部門を従来のカスタム生産によるビジネスモデルから、伝統的な半導体産業のように生産量を増やしダイのサイズを小さくしてコストを下げるビジネスモデルへと変化させることになった。