設計・生産 ものづくり現場の競争力アップに貢献する
 

第5回・「もっと」の誘惑を断ち切るプラットフォーム

津田 真吾=iTiDコンサルティング ディレクター
2011/01/31 00:00
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 どんな開発者でも、自分が設計した製品の性能を伸ばしたいものなのではないでしょうか。商品を世の中に出す以上、競合よりも「もっと、もっと」という向上心があるほうが自然です。筆者もエンジニア時代は、もっと軽く、もっと早く、もっと大容量に、という思いが強かったと思います。しかし、プラットフォームを開発するときにはこの誘惑を断ち切り、「もっと」はオプション側に委ねることが必要です。

 温水洗浄便座を例に考えてみましょう。

 フタの自動開閉機能はどんなモデルにも実装して、共通化すべきでしょうか。温風乾燥機能はどうでしょう。すべて実装して、競合に差をつけたくなるところです。「もっと」多くの機能や「もっと」便利な機能をいかにして実現するかを考える前に、「最低ライン」を見つけておくことが重要です。これは前回のコラムで説明した通りです。

 この「もっと」の誘惑に負けず「最低ライン」を見極めるには、それぞれの要件に対してお客さんが必要としているかどうかを尋ねるのが一番良いでしょう。しかし、一人ひとりに尋ねて回るのも大変なうえ、一部のお客さんに絞るにせよ、どう絞るべきなのかも迷います。消費者の声(VOC:Voice of Customer)を集めるため、一般には消費者アンケートなどを行います。この際、一般的な調査は、購入者による購入後の意見であるため、以下の点でそのまま利用することが困難です。

・使用しての感想など購入後の感想が交じり、購入の動機があいまいになる
・「最低ライン」は消費者にとって当たり前の条件であるため、言語化しづらく、抽出しきれない
・高くて買わなかった人からの意見を聞くことができない

 とくに三つ目のポイントが重要です。その製品を買うか買わないかについて、消費者はどのように感じているのでしょうか。

 そのヒントは、どんな要件を持つ製品をいくらで買ったか、という事実にあります。すなわち、要件と価格のデータを探ることです。その際、競合製品データも同時に比較し、自社製品を買わなかった消費者にも目を向けます。具体的に言えば、製品カテゴリ全体で売上高と製品要件を以下のような表に取りまとめます。

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