エコカー補助金・減税,日本を含め世界各国で実施された景気回復と自動車産業支援のための自動車販売促進策は効果を発し,リーマンショック後に極端に冷え込んだ自動車産業を急速な回復に導いた。

急激なリバウンドがかかった車載用TFT液晶パネル出荷

 われわれが最近発行した「車載ディスプレイ調査レポート 2010年版」(詳細情報はこちらから)によると,カー・ナビゲーション機器を中心に採用されている車載用TFT液晶パネルの出荷数量は2009年上半期から下半期に向けて急激ともいえるリバウンドがかかり,2010年に入ってもその出荷数量は,リーマンショック前の規模をはるかに上回る高い水準を維持し成長を続けている(図1)。これは,車載用TFT液晶パネルの市場拡大を加速させている新たな要因が加わっていることによるものである。

図1 車載用TFT液晶パネル出荷数量推移
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省エネ・安全機能の付加が押し上げる車載用TFT液晶パネル需要

 車載用TFT液晶パネルの用途は大きく分けて(1)ナビゲーション,(2)インコンソール(計器パネル内情報表示),(3)ビジュアル・モニター(リアシート・テレビなど(1)(2)以外の用途)の3種類に分けることができる。その3種類の用途の2009年および2010年の需要内訳を図2に示す。

用途別内訳
図2 2009年と2010年の車載用TFT液晶パネル用途別内訳比較

 2009年から2010年にかけて車載用TFT液晶パネルが大きく出荷数量を伸ばす中,図2に明らかなように,(2)インコンソール用TFT液晶パネルのシェアが2009年15%から2010年に25%と大きくシェアを上げている。これは欧州車を中心に,省エネ・モニター並びに警告表示として計器パネル内に従来の単機能パッシブ型液晶パネルから多機能表示型TFT液晶パネルへ切り換えが進んでいることが最大の牽引役となっている。

 また新たな需要として,日本でも軽自動車で採用が始まったバック・モニター用TFT液晶パネルが徐々に数量を伸ばし始めている。米国の安全規格の強化と共に,今後(3)のビジュアル・モニターとしてその需要が拡大していくことが期待される。