中国に対して日本のものを売るには?という質問に対して,除さんはざっくばらんに答えてくれた。

中国市場戦略研究所代表の徐向東氏
中国市場戦略研究所代表の徐向東氏

徐氏 「今,中国の若者の娯楽は一番がインターネットになりつつあります。まず,これらのインターネットの扱いに慣れている若者層を狙うべきでしょう。例えば,若い女性は誰もがきれいになりたがっています。だからファッション商品や化粧品は有望と思われます。

 特に化粧品は肌に触れますので,安全でなくてはなりません。ここでは,日本の製品の安全性が大きな魅力となります。日本の安全性にはとても信頼があるので,そういった意味では健康維持などのための薬品や,あるいは子供向けの製品も,安全性が謳い文句となるでしょう。粉ミルクなどの日本商品は,一時大ブレイクしました。

 安全性と同時に,ブランド力も日本の商品力と強く結びついています。例えば,キヤノンはカメラ専門の個人商品への流通展開を図り,『キヤノンが認めた店』という流通専門店ブランドイメージを確立しました。」

 なるほど,日本製品の良さというものは,ある程度中国にもうまく伝わっているようだ。であれば,もっとうまく宣伝をすれば,例えばテレビCMなどを活用すれば,多くの「中国人のツボ」を捉えられるのではないだろうか。

徐氏 「残念ながら,今の若者たちはテレビCMをあまり信用していません。むしろ,インターネットを通じた口コミ情報を重要視しているのです。うまい販促のパターンとして,まず著名なタレントを使って若者にアピール,そして興味を持ってくれたらチャットを通じてコミニュケーションをして販売に結びつける,という方法が取られています。ちなみに彼らは仕事中でも平気でチャットを通じて商品を買うので,インターネット・ショッピングの売上は昼間の占める金額の割合の方が多いという事実があります。」

 チャットが必要となると,かなりコミュニケーションを密にしないと駄目なようだ。

徐氏 「さらに付け加えるとしたら,日本製品はラインアップを揃えるべきでしょう。先ほども言いましたが,日本製品にはブランド力があります。憧れを抱いてもらっているのです。と言っても,高い製品ばかりでは,高嶺の花となるだけで,手が届きません。中国人に取って手頃な価格のものから高級品まで多くの品揃えをすることで,幅広い消費者を獲得できるのではないでしょうか。」

国際流通網へと夢は膨らむ