『日経ものづくり』で人気の連載コラム「多視済済」。特徴はクイズ形式であること。写真を見て,「これは何に使用するものなのか?」,「原理はどのようになっているのか?」,「この技術の狙いは何なのか?」といった質問に回答してもらいます。夏休み企画として,過去に掲載された「多視済済」を一挙に紹介します。
多視済済
『日経ものづくり』で人気の連載コラム「多視済済」。特徴はクイズ形式であること。写真を見て,「これは何に使用するものなのか?」,「原理はどのようになっているのか?」,「この技術の狙いは何なのか?」といった質問に回答してもらいます。夏休み企画として,過去に掲載された「多視済済」を一挙に紹介します。
目次
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下のリモコンカーの燃料はどれ?
実はこのリモコンカー、荷台に「バイオ電池」を積んでいる。注射器でオレンジジュースを本体上部の小さな穴に注ぐと、リモコンカーは元気良く走りだす。正確には、燃料はブドウ糖(図1)。ブドウ糖を含む飲料であれば、オレンジジュースでなくてもリモコンカーを動かせる。バイオ電池はソニーが、リモコンカーの外装や駆動…
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宇宙をヨットのように進める、その原理とは?
写真は、2010年5月21日にH-IIAロケット17号機によって打ち上げられた、小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」だ。ヨットの帆のように大きく広げた膜で、太陽光圧の力を受けて推進力を得る。アイデアは約100年前からあったものだが、いまだ実現されていない。さて、海原を航海するヨットは水から受…
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速度の異なる2種類の風を出す扇風機。その流れ方とは
ヒント:内側の風速は外側の風速の約半分である
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最後まで、安全なのはどれだ?
上の図を見ていただきたい。1~5は、いずれもディスクブレーキを図示したものだ。円盤状の金属板(ディスク)を2枚のパッドによって挟み込むことで、金属板とパッドの間に摩擦力を発生させる。この5つの図、原理は同じだが、パッドの動かし方や、部品の構成にそれぞれ違いがある。左側の2つはパッドを開いたり閉じたり…
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5色の目は口ほどに物を言う
千葉県・幕張新都心の高層ビルの一角。オフィスの脇のショールームのようなスペースに,顔をイメージさせる球体がずらりと並んでいる。100個以上あるだろうか,縁日で売られているお面のような配置だ。照明を落とした暗闇の中,目の色が徐々に変化する。よく見ると,鼻と口もある。
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地下鉄のトンネル,どうやって矩形にするのか
地下鉄のトンネルの断面といえば円形が基本。地中でトンネルにかかる土圧を均等に受け止められるし,何よりも掘りやすい。ところが現在,東京都内で進んでいる「東横線渋谷~代官山間地下化工事」では,2015年3月の完成を目指して,縦長の矩形を二つ連ねた2連矩形断面のトンネルが掘られている。なぜ円形ではダメなの…
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「抱き包まれる心地」の支え方
写真は,OKIが技術研究を目的に試作したロボットの脚。人間の脚をシミュレートしたもので,1脚ながら,ジャンプして着地できる。動きの制御は,脚として自律的に動く仕組みを実現するもので,加速度や姿勢をセンサで検出して倒れないようにするといった,実際の脚にない制御は実行していない。
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機能性ファスナー,あなたならどう使う?
「ファスナー」と聞いてまず思い浮かぶのは洋服やかばんの線ファスナーだが,産業用途でも線ファスナーを使う場面は多い。YKKでは,H-IIAロケットのサーマルカーテン(エンジンの断熱カバー)や宇宙飛行士用の与圧服,さらには明石海峡大橋など,多くの分野にファスナーを供給している。
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押しても引いても押されます
上の写真は,あるリンク機構が動いた軌跡のうち,三つの状態を重ねて表示したものだ。写真上部にあるグリップを押したり引いたりすると,下側左右の二つの部分いずれかが押し出されるように動く。目的は,通常は足を使って操作する制御デバイスを片手で操作すること。持ち運びが容易でデバイスの改造が不要という従来にない…
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身も心も前向きにする新しい乗り物
ベーダ国際ロボット開発センターは,車いすを代替する新しい乗り物「ユニバーサルビークル Rodem」(型番:M1-1)を開発した
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真っすぐな切りくずにするのはなぜ?
この写真は,冷間圧延鋼板(SPCC)製で厚さ3.2mmの円板をバイトで旋削加工している様子だ。動画でお見せできないのが残念だが,不思議なことに,切りくずは右の方に,直線状に流れ出ている。もちろん,これは偶然の産物などではない。わざわざ真っすぐにしているのだ。それには当然,見合った利点があるから。その…
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ラップの箱に隠された「機能」を推理せよ!
初代のクレラップは1960年に発売。1989年には独自のカット方式を実現する「V字刃」を採用し,名前を今のNewクレラップに変更した。以来,その「New」を維持するために,新機能の追加や既存機能の改善に取り組み続けてきた。とりわけ,2004年以降は毎年,新機能を追加している。たかが梱包材と侮ることな…
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どうやって?
テーブルにこぼしてしまったマヨネーズ。取り除くだけなら,台ふきなどでふき取ればよい。しかし,このマヨネーズを,もし軟らかくて崩れやすい「ワーク」だと考え,形を保ったまま別の場所に移さねばならないとしたらどうだろう。薄い板の先端を押し当てて,テーブルとワークの間に潜り込ませようとしても,形が崩れてしま…
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天まで昇れ
天空を漂う黄色い物体は,ヘリウムバルーン(写真上)。そこから地上に向かって「テザー」と呼ぶ,幅50×厚さ1.5mmのポリエステル製のベルトが垂れ下がる(同中)。風に揺れるテザーを懸命に昇っていく物体,その名を「クライマー」という(同下)。
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長く軽く使える秘密とは
ここに挙げたのは,コクヨS&T(本社大阪市)の修正テープを分解したものだ。上のAは,内蔵するテープが長い「ケシピコロング」,下のBはペン型の「ケシピコスリム」である。両方とも,本体を手に持ち,ヘッド部を紙に押し当てて引いて使う。いずれも,未使用のテープを巻いた「送り出しコア」と,使用済みのテープ(イ…
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炭素繊維を刺しゅうする
カラフルな糸を使って衣類などを装飾する刺しゅう技術。写真の右上と左下にある黒い模様も,この刺しゅう技術を使って作製したものだ。ただしこれは,装飾を目的としたものではない。黒色の糸の正体は炭素繊維で, CFRP(炭素繊維強化樹脂)を成形する方法の一つであるRTM法のプリフォーム(中間基材)として使う
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常識は覆される
右に盛られた茶色い物質は「リグニン」と呼ばれる。木質のおおよそ3割を占め,セルロース,ヘミセルロースと並ぶ,木の主要成分の一つだ。仮に,木を鉄筋コンクリートの建物に例えれば,セルロースとヘミセルロースが鉄筋,リグニンがコンクリートの役割を果たす。そんなリグニンを出発原料に,森林総合研究所,東京農工大…
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これは何
これらの物体は一体何か。4色あるということは…。
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1/3の面積で効率的に造水する工夫とは
船舶において,海水から生活用水を得るための「造水装置」は欠かせない存在だ。だが,重要な設備だからといって“幅”を利かせているわけにはいかない。燃料油用の油清浄機やバラスト水の処理装置など積載する設備が増えているため,設備それぞれに対して小型化のニーズが高まっているのだ。
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紙飛行機を宇宙から飛ばしても燃えないのはなぜ?
初っぱなから第1問。高度約400kmの軌道を周回する宇宙ステーションから地球へ向けて紙飛行機を飛ばしたら,紙飛行機はどうなるか。次の三つから選んでほしい。