はやぶさの成功「世界初の月以外への天体への着陸・帰還」

出典:JAXA
出典:JAXA

 2010年6月14日、小惑星探査機「はやぶさ(はやぶさの概要はこちら」が小惑星「イトカワ」から無事に帰還した。彼は「史上初めて月以外の天体に着陸して地球に帰還する」という偉業を果たしてくれた。またそれだけでなく、「最も長い期間(2592日間)宇宙を飛行する」という記録をも打ち立てた。この二つはギネスブックに申請されたそうだ。

 ちなみに、小惑星イトカワは1998年にアメリカ人によって発見され、わが国の日本のロケットの父「糸川英夫博士」にちなんで名付けられたという、とても縁がある小惑星だ(実はターゲットの小惑星は3度変更されイトカワに決定した)。

 プロジェクトチームの苦労などは、「はやぶさ物語」でご覧いただける。どんなプロジェクトでもそうだと思うが、参加者の熱い思いがものごとを動かすことを痛感する。

科学的な成果

 「はやぶさ」の主要な目的は、イオンエンジンの実証実験や自立的な航法誘導制御技術など工学的な技術実証であった。だが、小惑星イトカワの探査・撮影に成功し(小惑星の形状を高度20km~3kmの距離から4種類の観測機器を用いて、詳細に調査)、科学的成果も挙げてくれたことに意義がある。それは、多くの人たちが持つ小惑星に対するイメージを大きく変えてくれた。

 その新たな科学的な発見は二つある。(1)宇宙の中で最も数が多いといわれる「大きさが1km以内の小惑星」を世界で初めて探査した。イトカワは、一度溶けてから形成されたタイプの小惑星であり、生成過程からして地球などとは違う、原始的な天体である。この詳細を明らかにしたのは大きい。(2)がれきが集まって小惑星が形成されるという仮説に対して、有力な証拠を提供したという意義もある。 ちなみに、はやぶさが撮影した小惑星の写真は「科学雑誌サイエンス(2006年6月)」の表紙を飾っている。

 なお、小惑星探査に関するより詳細な情報は独立行政法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)のサイトを是非ご覧いただきたい。この映像を見ていると宇宙へのロマンがますます掻き立てられる。

 はやぶさの科学的成果は映像だけでない。今後は回収された「サンプル」の分析が行われ、より多くの科学的な成果が期待される。うまくサンプルが回収されていれば、小惑星誕生の歴史、さらには地球や太陽系の歴史に関する研究を確実に進展させられるものと言われている。