中国江蘇省可再生能源オフィス主任の許瑞林教授によると,中国太陽電池産業の発展段階は大きく三つに分けられる。第1段階が,1984年以降の研究開発の時代である。その後,2001年以降に産業の立ち上がり期を迎えた。この第2段階は,中国Suntech Power社などの太陽電池メーカーの創業が始まった時期でもある。そして,2005年から現在に至る第3段階は,中国の太陽電池産業が急速に発展した時期にあたる。多くのメーカーが中国国外の株式市場に上場し,中国の太陽電池産業は急拡大期を迎えた。

 2001年以降の第2段階から第3段階にかけての急速な成長・発展の背景には,欧州での太陽光発電に対する旺盛な需要があった。中国メーカーは,欧州と手を組んで太陽電池の製造を担ってきたといえる。

中国を語るには「対数」が必要

 2000年以降,世界の太陽電池生産量は平均して年率40%前後の成長率で伸びてきた。その中で中国は,年率100%以上の大きな伸びを見せている。2008年には,それまで世界一の市場シェアを続けてきた日本を抜いて,中国が第1位の生産国となった。年率100%の成長率とは,生産量が毎年2倍に増えていく状況であり,10年で1000倍になることを意味する。このような成長をグラフで表すためには対数軸が必要となってくる。中国の太陽電池生産量は,2001年以降の8年間で“3ケタ半”の成長を示している。この間,日本も1ケタの成長を示したが,対数グラフで見るとその勢いの差は歴然である(図1)。

図1 急速に立ち上がり,世界トップに躍り出た中国の太陽電池生産量
2008年までの値は,業界の中で公表されている数値を参考にして作成。2009年の値は,中国国内での情報を基に作成。
[画像のクリックで拡大表示]