急拡大を続ける中国の太陽電池生産量は,2009年に4382MWに達し,世界シェアの40%を超えたと見られる。世界第1位の製造国となり今後も継続的な拡大を続ける中国太陽電池産業の状況を,中国現地での取材を基に定期的にレポートする。初回は,2010年3月に中国・上海で開催された展示会「SOLARCON China 2010」および併設コンファレンスから中国太陽電池産業の現状と今後の方向を読み解く。

 太陽電池の展示会「SOLARCON China 2010」と併設コンファレンス「第6回CSPV(China SoG Silicon and PV Power Conference)」が2010年3月16~18日,中国・上海の新国際展覧中心(SNIEC)で開催された。会場では,世界経済危機の影響から脱して力強く成長を続ける中国太陽電池産業の姿を見るとともに,今後の方向性を読み取ることができる。

2009年は生産量4GW,世界シェアの40%を超えた

王勃華氏
工業和信息化部 電子信息司の王勃華氏

 開会式では,中国政府の工業和信息化部 電子信息司の王勃華氏が,「中国における2009年の太陽電池の生産量が4382MWに達した」と述べた。

 2008年に世界の30%を超えた中国の太陽電池生産量については,多くの業界関係者が注目している。2009年の世界の正式な生産量の値はまだ公表されていないが,中国での生産量が4GWを超えたことで「世界シェアの40%を超えた」という見方が強い。

多結晶Si製造はまだ拡大する

 2008年に急落したSi価格の影響で,それまで無秩序に参入が進んでいた太陽電池向け多結晶Siの製造に対しても規制が進んだ。その結果,Si価格の沈静化とともに業界も落ち着きを取り戻した感がある。

 一方,長期的な成長を考えた場合には,中国国内でのSi製造量はまだ需要の半分程度しか満たされていない。このため,長期的な成長を見据えた取り組みも進みつつある。「政府としても,多結晶Si製造に参入するための基準を検討中であり,近日中に発表する予定である」と王勃華氏は発言した。

 製造面でも,多結晶Siのインゴット炉の容量を増大する技術について,コンファレンスと展示会の両方で複数の設備企業が発表した。従来500kgだった容量を800kgに引き上げる装置に関する発表である。こうした製造面での努力と,政府による秩序ある産業成長の支援により,Si結晶の製造量は今後継続的に拡大していくだろう。

薄膜太陽電池への取り組みも着実に続く

 これまで結晶型太陽電池の生産で急成長してきた中国の太陽電池産業だが,薄膜SiやCIGSなどの薄膜太陽電池に対する取り組みも積極的といえる。薄膜Si型太陽電池の製造に参入した企業の数は60社近くになった。独自技術で立ち上げを図る企業や,ターンキー設備を導入して立ち上げようとする企業など様々である。