趣旨
厳しい経済状況において、企業の収益性を高め、経営基盤の安定化を図る戦略的選択肢の一つとして新製品開発があります。従来新製品、技術の開発は、各企業で、企業風土や経営形態に基づいて行われてきましたが、課題として、投資(インプット)と開発の成果(アウトプット)に対して経営的評価がなされているかという点にあります。開発プロジェクトの運営手法として、計画的開発プロセス(Planned Development Process)を採用することにより、特に中小企業における新製品開発を成功させることが可能です。計画的開発プロセスでは、開発投資の承認など各ポイントで、経営的な合否判断がなされ、その後はプロジェクトリーダーが中心となって開発プロジェクトが遂行されます。本文では、自動車分野に進出意欲を持つCS化成の新製品開発をとうして開発プロジェクトの進展を検証します。
米野正博(よねの まさひろ)
技術コンサルタント
1947年山形県生まれ。上智大学機械工学科卒。ハートフォード大(米国)MBA.工学博士(東京工業大学)米国ロックタイト社(米国コネチカット州)、ヨーロッパ研究所(アイルランド)勤務を経て、1990年より日本ロックタイト社研究開発所長、会社合併により2002年より2007年までヘンケルテクノロジーセンター、ゼネラルマネジャー。2007年から2009年まで近畿大学客員教授ロックタイト、ヘンケル社勤務中、自動車、エレクトロニクス、一般産業分野向け高分子材料(接着剤、シール剤など)の新製品開発プロジェクトのマネジメントに従事。