図1●世界の地域別太陽電池設置量の推移(2000年〜2008年実績,2009年〜2013年予測)。出所:EPIA(European Photovoltaic Industry Association),(2009年4月)。
図1●世界の地域別太陽電池設置量の推移(2000年〜2008年実績,2009年〜2013年予測)。出所:EPIA(European Photovoltaic Industry Association),(2009年4月)。
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 太陽電池市場が急速に回復している。2008年秋,リーマン・ショックと同時期にスペイン政府が太陽電池のフィードイン・タリフ制度の受付許可容量を大幅に引き下げると,世界最大のスペイン市場の縮小とともに世界の太陽電池需要は急減したが,日本や欧州で需要回復の兆しが見え始めた。2009年後半には再び世界市場が拡大し始めた。

 欧州太陽光発電産業協会(EPIA:European Photovoltaic Industry Association)の予測によると,2009年の太陽電池需要は発電力換算で対前年比22.4%増の6802MWになる(図1)。その後も順調に増え,2013年には2008年比4.0倍の2万2325MWに達する。これは各国政府が導入支援政策により積極的に需要を喚起するとしたシナリオだ。同協会は,各国が政策を打ち出さない保守的なシナリオも提示している。その場合,2013年に2008年比2.2倍の1万2250MWにしかならない。

イタリア,フランスでも需要拡大

 地域別に見ると,2008年に世界全体の80%を占めた欧州市場が,2013年までトップを維持する見通しだ。2010年から2013年まで世界の約半分を占める。欧州市場の拡大率は,2008年比2.4倍の1万925MW。スペイン市場は縮小したが,ドイツをはじめイタリア,フランスなどでは引き続きフィードイン・タリフ制度により需要が拡大するだろう。

 2008年比で最も成長するのは米国だ。同13.2倍の4500MWになる。2007年までは日本市場よりも小さかったが,2009年初めにオバマ大統領がグリーン・ニューディール政策を打ち出し,2013年の太陽電池需要は日本市場の倍以上に達する見込みだ。

 2009年に急速に需要が増えているのが日本市場だ。太陽電池設置に対する補助金が復活した上に,2009年11月からフィードイン・タリフ制度も始まった。フィードイン・タリフ制度の導入は春に決まっていたこともあり,先行して設置する消費者も多かった。また,落ち込んでいる建築着工数を引き上げるためにハウス・メーカーが,戦略的な価格を提示していることも需要を後押ししている。