図1●中国Skyworth Digital社の中国向けテレビ販売台数の推移(2008年1月〜2009年8月実績)。フラット・テレビにはプラズマ・テレビを含む。出所:大和証券SMBC,(2009年10月)。
図1●中国Skyworth Digital社の中国向けテレビ販売台数の推移(2008年1月〜2009年8月実績)。フラット・テレビにはプラズマ・テレビを含む。出所:大和証券SMBC,(2009年10月)。
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 大和証券SMBCキャセイによると,中国で液晶テレビの普及が急速に進んでいる。家電下郷と以旧換新の二つの内需振興策により液晶テレビが購入し易くなったことに加え,メーカーや販売店が採算のよい液晶テレビへのシフトを急いでいるためだ。購買力の高い北京や上海では,国美を初めとする大手家電量販店の商品棚の陳列にブラウン管テレビを見かけることはほぼなくなった。

 中国テレビ・メーカー大手のSkyworth Digital社が2009年8月に中国市場向けに販売した製品のフラット・パネル比率は,前年同月の33%から80%まで上昇した。この中にはプラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)を含むものの大半が液晶パネルだ。既に,同社は今後1年以内にブラウン管テレビの生産を停止する方針を明らかにしている。

農村部でも液晶テレビ普及は時間の問題

 2010年の中国の液晶テレビ普及率は,農村部の需要にかかっている。ブラウン管テレビが引き続きコスト優位であるため農村部での液晶テレビの普及は限定的との声もあるが,大和証券SMBCキャセイは農村部でも液晶テレビが普及すると見ている。理由は二つある。

 第1に,液晶パネル・メーカーが中国農村向けに低コストのテレビ用液晶パネルの生産に本腰を入れ始め,7.5世代のラインで効率的に生産すれば,パネルが安価に提供できる環境が整ったことが挙げられる。第2に,ブラウン管テレビの部材メーカーの生産停止,撤退が相次いでおり,ブラウン管テレビの供給が今後,加速的に縮小することが予想される。

 依然として,液晶テレビとブラウン管テレビの価格差はあるものの,10年前に比べて差は大幅に縮まった。また,2010年は都市部に引き続き,農村部でも液晶テレビ以外に選択する余地がなくなっていく可能性が高い。大和証券SMBCでは,中国のテレビ出荷に占める液晶テレビ比率は2009年の60%半ばから,2010年には80%半ばまで上昇すると予想している。