日本国内のパソコン市場に薄日が射して来た。電子情報技術産業協会(JEITA)が毎月発表している日本国内のパソコン出荷実績によると,7月の統計では,「モバイル・ノート」が6月に続いて台数ベースで対前年同期比4割以上の増加を示した(金額では同15~20%減)のに加え,国産大手メーカーのコンシューマー向けパソコンの主力と言える「デスクトップ型のオールインワン(ディスプレイ一体型)」が台数ベースで対前年同期比16.4%増,金額ベースでも同4.4%増と,2008年6月以来約1年ぶりにプラスに転じた(図1)。9月28日に発表された8月分の実績でも,「デスクトップ型のオールインワン」は対前年同期比で台数5.1%増,金額4.3%増とプラスを維持している。
2009年上半期(1月~6月)はデスクトップ型,ノート型とも金額ベースでは対前年同期比約30%減。低価格ノート型パソコン(ネットブック)を含む「モバイル・ノート」だけは台数ベースで対前年同期比約8%増となったものの,その他の区分はいずれも同15~30%減という低迷が続いていた(図2,図3)。
景気の急速な悪化以後,「企業向け需要の冷え込みは続いているが個人向けは堅調」(JEITAの2009年5月実績発表時のコメント)というようにネットブックが需要を下支えする傾向が続いていたが,ようやくトンネルの出口が見えてきた。JEITAはこの7月実績を受けて,「コンシューマー向けの出荷台数は対前年比10.6%増と引き続き好調を維持。企業向けは前年割れが続いているものの回復の兆しが表れてきた」としている。
量販店販売データでも8月からデスクトップ型がプラスに
JEITAの業界統計はメーカー側の出荷台数を集計したもので,デルや日本ヒューレット・パッカード(HP),ネットブック大手の台湾ASUSTeK Computer(ASUS)社や台湾Acer社は参加していない。しかし,需要側の統計でもパソコン市場は好転してきた。有力家電量販店のPOSデータを集計しているGfK Japanの週間販売データで見ると,2009年8月第2週(2009年8月3日~8月9日)に久々に,デスクトップ型パソコンの販売台数と販売金額がともに,対前年同週(2008年8月4日~8月10日)比でプラスになった*1。2009年8月第3週(2009年8月10日~8月16日)もそろってプラスを維持し,2009年8月第4週(2009年8月17日~8月23日)にはさらにデスクトップ型パソコンの対前年同期比伸び率が台数で8.0%,金額では10.3%と大きく拡大した。
*1 このGfK Japanのデータで,デスクトップ型パソコンの販売台数と販売金額がともに対前年同週比でプラスだったのは,ゴールデンウイーク期間中の2009年5月第2週(2009年5月4日~5月10日)以来。だが翌5月第3週には,販売金額が対前年同週比でマイナスに戻っている。