「虹」というキーワードを含む書込みがあった場合には、投稿した利用者のプロフィルから、どこに住んでいる人なのかを取得する。それを地図上にマッピングして、光るようにすると、ヒト・センサを利用した「虹出現感知&出現場所表示装置」のできあがりだ。この装置を使えば、「今、○○県○○市周辺で、虹が出現した模様です」と、メールで通知することも可能になる。

 虹感知装置の需要が多いかどうかは議論があるところだろう。でも今や、こうした仕組みは決して突飛な発想ではない。既に同じようなアイデアのサービスは登場しつつあるのだ。ブログなどの口コミ情報は、今はマーケティング分野での応用が主流だが、今後はさらに広がることになりそうだ。

ゲリラ豪雨の予測や地震速報も口コミで

 気象情報サービス大手のウェザーニューズ(WNI)は、ネット経由で消費者から寄せられた情報を使って「ゲリラ豪雨」の発生を予測するサービスを提供している。「ゲリラ雷雨防衛隊」と呼ぶボランティア隊員の消費者を募集。隊員は自分がいる場所の「現在の天気」や「雲のある方角」「雷鳴の有無」「肌で感じた感覚」などを写真と一緒に同社に送る。その内容をWNIにいるプロの気象専門家が分析し、ゲリラ豪雨の発生前に予告メールで登録会員に知らせる仕組みだ。

 WNIは昨年も同様のサービスを提供しており、今年は昨年の2倍に当たる2万人を超える消費者が隊員として登録している。今年7月30日時点までに、首都圏で33回発生したゲリラ豪雨のうち84.8%の発生を捕捉し、平均54分前に予告メールを送ることができたという。ゲリラ豪雨は、現在の気象技術では予測困難といわれている。消費者が発信する情報を使うことで、かなりの確率でそれを捕捉できていることは興味深い。

 同様のアイデアを、Twitterのつぶやきを使って実現する取り組みもある。

 東京大学大学院 工学系研究科 総合研究機構の松尾豊准教授と同大工学部システム創成学科4年の岡崎真氏は、Twitterの投稿を使って、地震の場所と揺れの大きさをメールで速報通知する仕組みを開発している。

 「地震」「揺れ」などのキーワードを含む書き込みを検索し、投稿した利用者が住んでいる地域や、同じ地域で同時に書き込まれた投稿記事の数などから、場所や揺れの大きさを分析する。地震が起きた後、テレビの地震速報が表示されるよりも早く、地震についての情報をメールで送信できるというから驚きだ。