日経ものづくり編集部からのお知らせ
本コラム著者の笠原隆氏は,2009年8月5日にお亡くなりになりました。本記事は,ご遺族の方の了解を得て掲載するものです。

 昨今の厳しい経営環境は,いろいろな意味で「チャンス」でもあります。例えば,景気が良かった時には,日々の業務に忙しく,スキルアップのための「勉強会」などには頭が回らなかったかもしれません。しかし,今となっては,会社の将来にとっても,社員の将来にとっても大変重要なイベントになり得ます。

身近なテーマから始めよう

 勉強会は,職場などの小さな単位で始めると良いでしょう。現場の仕事量が目に見えて減っていて,終業時刻に近づくころにはほとんど仕事がないという職場も多いと思います。まずは,職場単位で身近なテーマを扱ってみましょう。

時間を厳格に守る

 このような勉強会は,業務とはやや位置付けが違うので,どうしても時間にルーズになったり,士気が緩んだりする傾向があります。こうした事態を避けるためにも,開始時刻などを厳格に守る必要があります。特に,初回が肝心です。参加者の意識を左右するのはだいたい初回なので,ここで管理職が出席するなど,士気を高めるための工夫が求められます。

“社内講師”を有効に活用

 社内を探せば,ある分野にたけた人材が意外と見つかるものです。外部の講師を招くのも一つの手ではありますが,特に最初のうちは社内の優秀な人材を活用しましょう。勉強会のテーマごとに交代で講師を務めてもらえば,費用を抑えられますし,何よりすぐに勉強会を開催できます。

 勉強会では,質疑応答の時間を多めに確保するとよいでしょう。こうした過程で吸い上げた職場の意見を,目下取り組んでいる改善案に反映していくといったことも可能になります。職場の意見を活用することで,意欲も効果も高まります。

要所で外部講師を活用

 ただし,社内講師だけではマンネリになりかねません。要所で外部の講師を招くとよいでしょう。例えば,改善活動が一段落した段階で外部の講師を呼び,改善効果について意見や評価を仰いだり,競合他社や異業種の手法を聞いたりするなど,今後の参考になるアイデアを生み出すための場として活用します。