日経ものづくり編集部からのお知らせ
本コラム著者の笠原隆氏は,2009年8月5日にお亡くなりになりました。本記事は,ご遺族の方の了解を得て掲載するものです。

 IEの説明に入る前に,ぜひ皆さんにお伝えしておきたいことがあります。VEもそうでしたが,目標を高く掲げることが大事ということです。せっかく優秀なメンバーが集まって活動するのですから,目標の高いテーマをあえて選択しましょう。

 前向きな考え方や姿勢(Positive Mental Attitude)というキーワードを思い浮かべてください。このような機会をまたとないチャンスととらえて挑戦すること。「思考は現実になる」という言葉を信じて皆で力を合わせること。社内だけでなく社外の力も借りれると信じて取り組みましょう。

IE活動を始める前に

 実際の活動に入る前に,次のことに気を付けてください。

  • 毎回,発想する前に,目的や目標を確認する
  • どのように些細なアイデアでも必ずメモを取って残す
  • できない理由を考える前にどうすればできるかを考える
  • 常にPositive Mental Attitude
  • 「改善は永遠にして無限である」
  • 「なぜ」を5回繰り返して根本的な原因をつかむ
  • 改善のネタは常に現場にある
  • 行き詰ったら原点に戻る
  • プラスの思考,プラスの言葉,プラスの行動
  • 異分野からヒントを得る

部分最適は全体最適ではない

 加えて,IEに取り組む場合は「部分最適は全体最適ではない」ことを常に意識してください。出てきたアイデアを組み合わせて最適案を作成しても,実際にはそれが全体の最適案ではないことが多いのです。

 特に,IEのようにシステムを対象としている場合,そうした結果に終わることが多いので注意が必要です。一方,部品や材料を対象としている場合は,部分最適案が全体最適案でもあり,多大の成果に結びつくことも少なくありません。

 部分最適に惑わされるミスを防ぐには,それぞれの分野のエキスパートに集まってもらい,全体的な観点で検討を行う必要があります。そうした時間が不足している場合には,常に周囲に情報を流し,意見やアイデア,修正案の提出などを依頼するとよいでしょう。まとめの段階で全体最適ではなかったことが発覚しては大変ですので,技術者としては,このあたりに重点を置き目を光らせておく必要があります。

IE編の途中ではありますが,IE編および《知識のサプリ》の記事はこれで最後となります。次回から《行動のサプリ》の原稿を順次掲載していきます。次回は2009年8月31日(月)の掲載を予定しています。