2008年下期からの大型液晶パネル市況の落ち込みは,前例のないほど急激だった。しかし,これを機会に躍進したメーカーもある。その一例が韓国の偏光板メーカーだ。これまで日本勢が得意としていた分野だが,特に,LG Chem, Ltd.とACE Digitech Co., Ltd.の韓国2社が大きくシェアを拡大することに成功した。

 まずは,偏光板市場全体について見てみよう。

2009年第1四半期の偏光板市場と短期的な展望

 2009年第1四半期(1月~3月)の面積ベースの偏光板需要は前期比3%減の4167万m2,第2四半期(4月~6月)は同33%増の5555万8000m2となった。

 2008年第4四半期(10月~12月)は同16%減と落ち込んだが,中国テレビ市場でパネル市況が急速かつ再び盛り上がっていることから,2009年は,第2四半期に続き第3四半期(7月~9月)以降も需要拡大が続く見通しである。第3四半期は前期比9%増,前年同期比18%増と見ている。第4四半期は前期比5%増,前年同期比47%増で,需要は6334万4000m2に達するだろう(図1)。

図1 偏光板需要(面積ベース)の短期展望[2009年第2四半期以降は予測]
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 一方,金額ベースでは,2009年第1四半期は前期比7%減の12億3600万米ドルとなった。パネル市況の回復,特に液晶テレビの大型化の進行によって,面積ベースの偏光板需要は今後も大きく拡大していくが,コスト低減の要求により金額ベースでの成長は面積ベースを大幅に下回ることは確実である(図2)。

図2 偏光板市場(金額ベース)の短期展望[2009年第2四半期以降は予測]
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