アイデア発想法を利用する際,基礎を抑えておくことが非常に重要です。安易な気持ちでアイデア発想法を利用すると,どうしても楽な方法に流れ,基礎・基本が疎かになります。そうした状態が習慣化すると,むしろ応用の利かない発想しか出てこなくなってしまうのです。

 以下に列挙するアイデア発想の考え方や方法は,いずれも基礎を疎かにしている例です。心当たりはありませんか?

  • アイデアは短時間で発想すれば効率が良い
  • 毎回2~3人の同じ顔ぶれで発想している
  • 発想する際のルールなどは多少無視しても構わない
  • その場の環境ごとにルールを作って発想する
  • アイデアが出なくなったら発想作業は終わりとする

ルールを必ず守る

 アイデア発想法ごとにルールは多少異なりますが,どの発想法でもルール(原則)を守らなければなりません。発想のルールを守ることの重要性は,私自身が数百ものプロジェクトにおいて発想作業を行ってきた中で気づいた収穫の一つです。

 例えばブレーンストーミングの場合,以下のようなルールがあります。もしブレーンストーミングがあまりうまくいかないという場合,以下のルールを導入してみてください。状況がかなり改善されるはずです。

  • 自由奔放
  •  一般的に,斬新なアイデアや奇抜なアイデアは無視される傾向があります。ブレーンストーミングでは,このようなアイデアでもその後の育て方や組み合わせ方次第で発展性のあるアイデアになるということを考慮しておきます。つまり,はなから無視するような態度は取らないということです。

  • 質より量
  •  当たり前ですが,10のアイデアよりも100のアイデアの方が良いアイデアが含まれている確率は高くなります。ところが,アイデアの数が多いと発想作業後に行う評価や組み合わせといった作業に時間がかかるので,担当者はアイデアの数(量)を発想作業の途中で制限しようとする傾向があります。もちろん質にこだわることも大切ですが,その質はある程度の量に支えられているのです。

  • 判断や批判の禁止
  •  「このようなアイデアを発表したら恥ずかしい」「過去に却下されたことのあるアイデアなので今さら出しても評価されないのではないか」といった自分の判断は,アイデア発想の妨げにしかなりません。そして,そのように思わせてしまう他人からの批判も禁止する必要があります。

  • 他人便乗
  •  アイデア発想に行き詰まった場合,他人のアイデアを見せてもらうことをお勧めします。それがヒントになり,再びアイデアを出せるようになります。自分と他人のアイデアを組み合わせる(結合する)ことによってアイデアを発展させる方法なので,「アイデアの結合改善」とも呼びます。

     他人のアイデアで自分のアイデアを膨らませることに一種の遠慮を感じる人も中にはいるようですが,そうした遠慮は一切無用です。どんどん拝借しましょう。