前回は,自分だけで考え抜くことの重要性を説明しました。しかし,自分ひとりで考えたことは「偏りがある」「思考対象の範囲が狭い」「思考の量が足りない」といった問題があることも確かです。そこで,自分だけで考えた後に,同じ課題について他人の思考と比較することが重要になります。

比較することで「差」を明確にする

 自分と他人の思考を比較した場合,一致しているところもあれば,一致していないところもあるのが普通です。このことを簡単な図にしてみました。図の中央部分は,自分と他人の思考が一致している部分です。一方,図の左側と右側では,両者の思考が一致していない部分です。ここで追求するのは,何が一致していたかではなく,何が一致していなかったかです。この「差」を明確にするには,以下の項目を参考にしてください。

  • 視点や観点の違い:課題に対する見方や考え方の違い
  • プロセス(過程)の違い:課題に対する思考プロセスや作業プロセスの違い
  • 意見の違い:課題に対する思い,とらえ方の違い
  • 思考の偏り:課題に対する考え方の多面性
  • 思考の範囲:課題に対する取り組み領域の範囲
  • 思考の量:思考の量が多い/少ない
  • 思考の質:思考の質が高い/低い

相違点を話し合う

 他人の思考との差が明確になったら,その人も含めなるべく多くの人を集めて,その差について話し合うと良いでしょう。自分だけでは気が付かなかった思考の「見方」「考え方」「手順」「方向性」「多面性」「量」「質」について客観的に分析できるようになります。こうした方法を繰り返し行なっていくことにより,あなたの考え方の幅も広がりますし,周囲のメンバーの考え方も豊かになっていきます。このことが「問題解決のアイデアが欲しい」「改善活動で成果を出したい」「短時間でアイデアが欲しい」といった場面で必ず役立つことになります。