目標を達成するには,その具体的な姿のイメージを持つことが重要です。ただし,いきなり現実の目標についてイメージするのは,なかなか難しいと思います。そこで,まず「イメージ・トレーニング」から始めましょう。

 イメージ・トレーニングをうまく使った事例として,読売ジャイアンツ監督の原辰徳氏がいます。原氏が現役選手だった1990年,シーズンの途中でわき腹を負傷し1カ月ほど休場,それまで保持していた年間20本塁打の連続記録が9年で途絶える寸前という状況でした。記録更新には残り4試合で3本打たなければならないとなった時,原氏はイメージ・トレーニングを受講。直後の試合で何と3本を固め打ちし,記録を更新したのです。

自然のイメージで要領をつかむ

 イメージ・トレーニングの手順例は,以下の通りです。

  1. 呼び出しや電話などの邪魔が入らない静かな部屋を用意する
  2. 快適な温度と湿度に設定する
  3. 小川のせせらぎの音,打ち寄せる波の音,小鳥のさえずり,などの音楽を用意する
  4. いすにゆったりと腰掛ける(いすがない場合はあおむけに寝てもよい)
  5. 部屋の照明を落とす(暗い場所の方が集中しやすい)
  6. 静かに目を閉じる
  7. ゆっくりと腹式呼吸を数回行い,心を落ち着かせる
  8. 大自然の中にいる姿など自分なりのイメージを開始する
  9. 五感を使ってイメージを膨らます(せせらぎの音,冷たい感触,美しい花々など)
  10. ゆっくりと目を開ける(トレーニング終了)

 こうしたイメージ・トレーニングを毎日繰り返します。1週間ほどすると,イメージの要領がつかめるようになってきます。そうしたら,仕事に生かすイメージ・トレーニングに進みます。

職場の仲間と一緒に

 仕事用のイメージ・トレーニングの手順例は,以下の通りです。1~7は,上記と同じです。

  1. 職場の仲間と「目標達成の活動を実行している」シーンを思い浮かべる
  2. 「見事に目標を達成した」シーンを思い浮かべる
  3. 「目標の達成を祝い,職場の皆と打ち上げパーティーを楽しんでいる」シーンを思い浮かべる
  4. ゆっくりと目を開ける(トレーニング終了)

 こうしたイメージ・トレーニングを毎日繰り返し行います。また,目標を共有している職場の仲間と一緒にこのようなトレーニングをできれば,言うことなしです。