貿易収支は「輸出」から「輸入」を引いた額で、それが赤字というのは「輸出額を輸入額が超えている」状態を指す。昨年8月、わが国は26年ぶりの貿易赤字(統計的に赤字になる1月を除く)となった。このときは原油や原材料、穀物などの高騰によって過去最高の輸入高を記録する状況となり、このことが赤字転落の大きな要因になった。

 ところが、昨年末からは輸出が大幅に減少し、これが赤字の原因となっている。財務省が2月25日に発表した速報値では2009年1月の貿易収支は、輸出が3兆4830億円、輸入が4兆4350億円で、差し引き9526億円と過去最高の赤字となった。1月は例年正月休みで輸出額が減り赤字となる傾向があるが、それを考慮しても巨額な赤字で、しかも貿易統計上4カ月連続の赤字である。

出典:財務省発表資料(2009年2月25日)

 個人的には、こうした貿易赤字は常態化する可能性が高いと思っている。1980年代、アメリカはレーガン大統領政権の下で莫大な貿易赤字と財政赤字という「双子の赤字(Twin deficit)」に苦しんだ。わが国もこれと同じ状況になりつつあるのではないかと危惧しているのだ。

 この数年、わが国は輸出主導で経済を保ってきた。しかし、海外の景気が後退し、それに円高の影響が重なって、輸出では稼げなくなっている。こうして、わが国を支えている主力産業が軒並み輸出を減らし、そのことが貿易赤字の大きな要因になっているのである。