自動車,携帯電話機,薄型テレビ,DVDレコーダーなどなど,さまざまな商品がありますが,ことコストに関しては考え方は同じです。商品コストのほとんどは,工程の上流過程(企画や開発の段階)で決定されます。私ども経営コンサルタントの試算によれば,コストの70~80%が企画・開発段階で決まっています。

 下の図を見てください。縦軸に「コスト」とあります。これは対象品の原価です。一方,横軸には「企画→開発→設計→製造」というプロセスがあります。左が上流で右が下流です。

 「コスト低減額」という曲線は,改善による低減額を表しています。上流の企画段階における改善金額が多いことに気付かれるでしょう。

 「コスト改定額」とは,改善するために既存の設備を改善したり,金型を変更したり,すでに在庫となった部品や材料を廃棄処分したりするために必要な費用です。コスト低減額とは違い,下流に行くほど多くなります。

 つまり,プロセスの上流ほどコスト低減の余地があります。商品コストのカギを握るのは技術者の皆さんです。特に企画・開発に携わる方はコストに敏感でなければなりません。