格差という簡単な問題でもない。共著者の白河桃子さんは、「ふつうのお嫁さん」になりたい花嫁修業の人も、美貌を備えたスーパーキャリアウーマンも、つまり両極共に結婚できないのだという。今の若者の25%が一生結婚しないと予測しているのだから大変なことだ。かくして、黙っていては結婚できないと薄々感づいた男女、いや主に女性が意図的な「婚活」に取り組んでいるというのである。

 星野ジャパンは、メダルへの執着心が薄かった。このことは「婚活」時代の白河さんに言わせれば、親にパラサイトしていて、結婚してもしなくてもイイというような甘い女性では、「真剣に結婚で食っていこうという女性に太刀打ちできるはずがありません」ということだ。

 同じように今のオリンピックは、強い者でなく「金メダルを獲るための活動」すなわち「金活」に専念した者以外勝てないのではないか。このことはトラック種目で男子初の銅メダルをものにした陸上400mリレーチームを見ると、一層わかりやすい。塚原、末続、高平、朝原の4人はそれぞれ短距離種目で決勝にも残れなかったのに、リレーで銅を獲った。バトンパスを練習し抜いた結果だ。確実に渡すアンダーハンドパスだそうである。

 報道されたところによると、他国の強豪は、各人のレースが忙しいためバトンパスの練習などほとんどしないという。で、英国、アメリカ、ナイジェリアというアテネ五輪上位チームがミスをした。

 怒られるかもしれないが、この銅は「拾いモノ」だ。だが、拾いモノだとしても狙いに狙って拾ったのだ。そして、獲ったからには文句は言わせない。アムステルダム女子800mの人見絹代以来80年ぶりのメダル。日本人全員を酔わせたメダルだ。そのために、バトン練習を怠けている他国選手がミスをするというわずかな可能性を期待して、日本一速い男たちが時間を掛け、小学生のようにバトン練習した。

 まさに「金活」の見本ではないか。