女子ソフトが北京で金メダルを獲った翌々日くらいのことだが、コメンテーターをしている番組で「メダルを獲りにいった人以外獲れないようなオリンピックになってしまいました」と、口をついて出てしまった。そんなの当たり前だろ!と、すぐに突っ込まれそうな無様なコメントだが、私は思ったことをすぐ口にしてしまう。

 「金しかいらない」と、威勢よく出陣した星野ジャパンだが準決勝で韓国に敗れ、3位決定戦でもアメリカに敗れてメダルなしに終わった。読売新聞はこれが星野監督の「情の采配」の結果だと明確な分析をしていた。つまり、1次リーグで韓国戦、米国戦で敗戦投手になり、いいところのなかった岩瀬投手にリベンジをさせたいという温情起用がアダになって李選手にホームランを打たれたということだ。

 そうかもしれないが、私は見ていて日本代表が弱いとはとても思えなかった。マイナーリーグ出身ばかりのアメリカにはもちろん、韓国には楽勝で、キューバだけが難敵だとくらいに考えていたし、試合がすべて終わった今も、その考えは変わらない。むしろ、岩瀬にチャンスを与え、それでしくじったとしてもまだ勝つのが当たり前くらいに思えた。

 けれども女子ソフトボールと比べると、はっきり違う。

 予選の1位2位と3位4位がそれぞれ試合をし、1、2位戦で敗れても3、4位の勝者と復活戦をして再び1位チームと決勝戦を行えるという、ショーアップを指向したトーナメント方式の中、日本は初戦、アメリカに敗れた。「上野投手は世界一」と実況アナは何度か言ったが、相手のアボット投手のほうがずっと上に見えた。追い込んでから投げてくる高めライジングボールは、バッターがストライクかボールかの判断もできないほどスゴい球である。

 勝てないだろうと思われたが、これも日本人にとって不満のあったタイブレーク方式で接戦になった。7回が終了し、2塁にあらかじめランナーを置いてイニングを始める方式は、日本人にはばかばかしく思える。バント2回で1点じゃないか、と。ところが、ソフト女子アメリカは8回表、強振してきた。果てに、0点で終わった。首都高を走りながら車載テレビを、トンネルでラジオに切り替えたりしながら試合を追っていた私は狂喜した。勝ったも同然じゃん! バントで1点!