技術経営 技術者が知っておきたい経営と市場の最新情報
 

【電子産業史】2003年:iPodとiTMS

汎ネット時代を迎えたデジタル家電の行く先

2008/08/28 09:00
印刷用ページ

2003年,米Apple Computer社は「iPod」に向けた音楽配信サービス「iTunes Music Store(iTMS)」を開始した。


図1:日本版iTMSの発表会でのJobs氏 (画像のクリックで拡大)

 前触れなく壇上に現れたSteve Jobsは,一点の陰りもない完璧なプレゼンテーションを繰り広げた。ここまで流暢な発表は,後にも先にも見たことがない。2005年8月4日木曜日。米Apple Computer社の音楽配信サービス「iTunes Music Store(iTMS)」が日本に上陸した瞬間だった(図1)。

 iTMSはApple社の携帯型音楽プレーヤー「iPod」に向けたサービスである。2003年4月に米国で開始,わずか一週間で100万曲を売り上げて,音楽配信の市場をいきなり立ち上げた。iTMSが成功した理由は,ユーザーのひそかな願いをことごとくかなえたこと。当初から20万曲もの豊富なラインアップをそろえ,1曲99米セントの低価格に設定。購入した曲を複数のパソコンで聴ける上,CD-Rにバックアップを取ることもできる。以前の配信事業者が,楽曲の著作権者に配慮するあまりに避けて通っていた要望ばかりだ。

 そして何よりiPodがあった。iTMS開始まではそれほど売れていなかったiPodは,iTMSの成長とともに,うなぎ登りに出荷台数を増やす。Apple社は購入した楽曲を再生できる携帯型音楽プレーヤーをiPodに限ることで,サービスと機器が互いに売り上げを拡大し合う好循環をつくり上げた。もちろん,サービス・機器共に魅力が高いからこそ,なしえた芸当だが。

機器とサービスが織りなす体験

 iTMSとiPodの成功からは,ネットワークが生活の至る所に深く根を張る時代の,デジタル家電の在りようが見える。ネットワークが日々提供する新たなサービスやコンテンツが,機器の魅力を増し続ける構図である。

 Apple社は,iTMSを通じて販売するコンテンツを順次拡大している。毎週新曲を追加するだけではなく,2005年10月にはテレビ番組やミュージック・ビデオの有料配信を開始。次の目標が映画の配信であることは,業界を飛び交う噂に耳を傾けるまでもない。同社は,ユーザーや企業が無料で発信するコンテンツも巧みに取り込んでいる。いわゆる「Podcast」の仕組みを利用して,個人や企業が流す膨大な音声や動画が,iPodで楽しめるコンテンツとして日に日に蓄積されている。

 これがiPodの魅力を高めていることは間違いない。ただし,豊富なコンテンツを提供するだけでは不十分だ。このことは,上辺は大差ない他社のサービスや機器が,Apple社の牙城を全く脅かしていないことから分かる。

【技術者塾】(9/16開催)
開発・設計者必修の購買コストダウン術

~コストダウン効果の高い開発購買と購買業務の基本テクニック~


設計と購買に精通した開発購買のプロが、開発・設計技術者に向けてコスト削減活動の重要性と活動への心構え、機能購買、有利購買の考え方・進め方、コスト分析技術、価格を決める交渉術など、開発購買を効果的に進めるために必要な購買知識を分かりやすく解説します。 詳細は、こちら
日時:2015年9月16日(水)10:00~17:00
会場:Learning Square新橋(東京・新橋)
主催:日経ものづくり
コメントする
コメントに関する諸注意(必ずお読みください)
※コメントの掲載は編集部がマニュアルで行っておりますので、即時には反映されません。

マイページ

マイページのご利用には日経テクノロジーオンラインの会員登録が必要です。

マイページでは記事のクリッピング(ブックマーク)、登録したキーワードを含む新着記事の表示(Myキーワード)、登録した連載の新着記事表示(連載ウォッチ)が利用できます。

協力メディア&
関連サイト

  • 日経エレクトロニクス
  • 日経ものづくり
  • 日経Automotive
  • 日経デジタルヘルス
  • メガソーラービジネス
  • 明日をつむぐテクノロジー
  • 新・公民連携最前線
  • 技術者塾

Follow Us

  • Facebook
  • Twitter
  • RSS

お薦めトピック

日経テクノロジーオンラインSpecial

記事ランキング