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1位:出井伸之氏(当時,ソニー 代表取締役会長 兼 CEO)
2位:Linus Torvalds氏(Linuxの生みの親)
3位:広瀬真人氏(2足歩行ロボット「ASIMO」の開発者)
4位:Bill Gates氏(Microsoft社の創業者)
5位:久多良木健氏(プレイステーションの生みの親)
6位:Steve Jobs氏(Apple Computer社 CEO)
7位:中村修二氏(青色LEDの発明者)

 これは,日経エレクトロニクスが2001年4月9日号の創刊30周年特集において,「次の時代を牽引するのは誰か」と読者に問い掛けたアンケート調査の結果である。

 現在はどうか。同じ調査を実施すれば,だいぶ異なる顔触れが並ぶのではないだろうか。この7人のその後を中心に,2000~2006年のエレクトロニクス産業を振り返ってみたい。

ソニー,「時代の寵児」から「敗者」に


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 2001年当時の出井伸之氏は,カリスマ性のある経営者として,ソニー並びにエレクトロニクス業界を代表する顔だった。「デジタル・ドリーム・キッズ」というキャッチフレーズを掲げ,デジタル時代の民生機器業界が進むべき方向性を打ち出した。コンピュータからデジタル家電へと,エレクトロニクス業界の主役が交代する中,日本企業にとっての指南役をソニーが果たしたといえる。エレクトロニクス技術を核に,流通・金融・物流といった他業種にも変革が起こると予見し,エレクトロニクス技術者にもビジネス・モデルの提案を求めた。

 「もの作り」だけでは生き残れない――それが同氏のメッセージだった。その後,ソニーに何が起こったのか。2003年春の「ソニー・ショック」が象徴するかのように,業績が低迷,新しいヒット商品の創出に苦しんでいる。薄型テレビへの舵取りが遅れたことで競合他社の後塵を拝している。「ウォークマン」を生んだ同社が,携帯型音楽プレーヤーの領域では新参者の米Apple Computer社に完敗した。敗者となったソニーがいかに復活するかに興味を抱く読者はいるにしても,新時代を切り開く役割を担う企業として期待する読者は少数派だろう。