1998年,米Google社が創業した。

 今や何らかの調べものをする際,多くの人がまずはパソコンの画面に向き合い,インターネットの検索エンジンを使うのではないだろうか。

図1 始まりはやはりガレージ 米Google社の二人の創業者。左はLarry Page氏,右はSergey Brin氏。写真は創業間もなく,知人宅の車庫に事務所を移転した時に撮影したもの。
図1 始まりはやはりガレージ 米Google社の二人の創業者。左はLarry Page氏,右はSergey Brin氏。写真は創業間もなく,知人宅の車庫に事務所を移転した時に撮影したもの。 (画像のクリックで拡大)

 しかし,日本でもブロードバンドがまだ普及していなかった1998年当時,検索エンジンがここまで生活に密着したツールになり,しかも巨大なビジネスに成長するとは誰も予想できなかった。それは同年9月に米Stanford Universityの学生寮の一室で米Google社を創業した,Larry Page氏とSergey Brin氏も同じだったに違いない(図1)。

 筆者が同社を初めて取材したのは2001年のこと。当時でも従業員は300人ほどいたが,まだベンチャー企業の面影を強く残していた。取材に応じたPage氏は短パンとTシャツ姿で現れ,人懐こい笑顔を見せたのを今でもよく覚えている。

 そこからわずか5年。Google社は猛烈な勢いで成長し,今では約6000人もの従業員を抱える大企業に姿を変えた。2005年には対前年比約2倍の61億3900万米ドルを売り上げ,今なお高成長を続ける。「1兆円企業」の仲間入りをするのにも,さして時間はかからないだろう。

新潮流を生み出す

 インターネットの普及とともに台頭した,いわゆる「IT企業」は無数にある。その中でもGoogle社がとりわけ大きな注目を集めるのは,ビジネス上の成功もさることながら,ユーザーを驚かす「何か」を次々に提供しているからである。

 1998年に検索サービス「Google Search」を正式に公開した時には,ユーザーは検索結果が瞬時に表示されることや表示される結果の的確さに驚いた。そして,広告・宣伝も一切しないのに,口コミなどで普及していった。

 2002年には「Google Labs」を開設し,矢継ぎ早に開発途上版のサービスを公開していった。その中には,新聞社のニュース・サイトから記事を収集して自動で順位付けをする「Google News」や,他社の競合サービスに比べてメール・ボックスの容量が1Gバイトと破格に大きい,WWWサイト経由で使う電子メール・サービス「Gmail」など,斬新なものも多い。今でこそよく知られるようになったAjax(asynchronous JavaScript+XML)と呼ばれる技術を,業界でいち早くWebサービスに導入したのもGoogle社である。