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日経エレが目撃した電子産業・歴史の現場

【電子産業史】1974年:インターネットの源流「ARPANET」

汎用機の時代に今も続く枠組みを作る

  • 2008/08/08 09:00
  • 1/3ページ

1974年に米ARPAは,複数のコンピュータ・ネットワークを統合するプロトコルの基本構想の中で,TCPを提案した。


図1 1973年9月のARPANET 本誌1974年6月17日号から。

 1969年,ARPANET(ARPAネットワーク)が誕生した時は,米国西部の大学・研究所4カ所(University of California Los Angeles校(UCLA),Stanford Research Institute,University of California Santa Barbara校(UCSB),University of Utah)を50kビット/秒の通信回線で結んだ小さなネットワークだった。その後ネットワークへの接続は全米と欧州の一部まで広がり,1973年には40ノードを超える大ネットワークに発展した(図1)。

 ARPANETの発端は,米国防総省の高等研究計画局(ARPA:Advanced Research Projects Agency)が研究資金を提供している大学・研究所の間でコンピュータ資源を共有し,情報共有を活発化することによって,研究開発を促進しようとしたものだった。ARPANETの開発過程で,パケット交換,ストア・アンド・フォワード,通信プロトコル,フロー制御,TCP/IPなどの基本概念が実用化され,最終的にはインターネットの誕生へとつながっていく。当時はこうしたネットワークを「コンピュータ・ネットワーク」と呼んでいたが,今流に言えば,「情報ネットワーク」のモデルを初めて大規模に実現したものだった。

 当時の環境を振り返ると,コンピュータといえば米IBM社のSystem/360のような汎用機を指すのが普通で,ミニコンピュータ(ミニコン)が日本でも広がり始めたところだった。パソコンやマイクロプロセサは,もちろん存在しない。コンピュータと通信は別個の世界であり,コンピュータ間の通信はほとんど実現していない。Ethernetの論文が発表されたのは1976年であり,LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)もまだ存在していなかった。ビジネスのツールとしては,机の上に電話機があるきりで,ファクシミリも普及していない。

 そのころ,コンピュータを使う場合は,専用のコンピュータ室に行って端末機を操作するのが普通であった。こうした利用形態からの変化は米国の先進的な大学・研究所で始まり,1人に端末1台の環境でLANや電子メールを駆使する環境がつくられていく。コンピュータの利用形態から見ると,バッチ処理からTSS(タイム・シェアリング・システム),そしてコンピュータ・ネットワークという流れである。最終的には今日のインターネットの利用のように,机の上から必要な情報を取り出してくることが可能となり,どこにいても情報へのアクセス,電子メールの読み書きができるようになった。ARPANETの時代と比べ,格段に複雑なことを非常に高速かつ安価にできるようになったが,ネットワークの基本的な枠組みは変わっていない。

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