それに引き換え、本当にいやだったのは「予算案の作成」です。夏を過ぎるころから省内の会計課に説明し、省内の調整が終わり秋を過ぎるころから大蔵省に説明し、そして予算案ができます。

 当時(今でもそうかもしれません)は、なぜか大蔵省のヒアリングは、真夜中に行われていました。昼は大蔵省の内部での調整をされていたようです。そしてこの大蔵省主計局への説明の順番待ちがたいへんなのです。延々と待ち続け、真夜中に「時間切れで明日」ということもしばしば。これは猛烈にいやでした。

問題は国会議員の無神経さ

 そして、予算待機と同じくらいに嫌だったのが、国会質問登録待機です。例えば、経済産業委員会の前日は、すべての国会議員の質問が明確になるまで、主要な課の課長補佐と係長は帰宅できません。あまり知られていませんが、国会での質問は少なくとも前日までに、どのような質問をするのかを登録することが慣習となっています。質問内容を事前に明かすのはなれ合いだという方もおられますが、質問に的確に回答するためには私は必要な慣習だと思います。

 その制度はともかく、これを待っているのは本当にばからしくいやでした。ほとんどの国会議員は、質問をする前日に質問を入れます。そしてその質問内容に対応すべき役所は、質問登録と同時に作業を始めて回答を作るのです。質問が夕刻に入れば、回答を作り終えるのは真夜中になってしまいます。

 そして、翌朝早く来て大臣などにレクチャーを行うのです。当然、質問が来そうな部署は待機しますので、質問が入るのが夜9時だと、その時間まで局ごと丸ごと待機(室長、課長補佐クラスが残ります)となるのです。

 ばからしいと思いませんか。この状況を国会議員は理解すべきです。国会質問の登録は、2日前にやるべきでしょう。前日の夜8時になって質問を出す方もざらにおられますが、少なくとも役所の無駄使いを指摘する国会議員は、十分な時間的余裕をもって役所に作業を依頼するようにしなければならないと思います。

 私は、自分自身が国会質問待機にものすごい疑問を感じていたので、少なくとも2日前に質問を登録するようにしています。早いときには1週間前くらいに登録します。若い役所の人たちが意味のない残業をしなくて済むように配慮しているつもりです。役所の人にとってうれしくない質問内容ばかりですが、回答の作成時間を考慮している点だけは役所の方々にもよろこんでいただいているようです。