設計・生産 ものづくり現場の競争力アップに貢献する
 

基礎研究のムダから逃げてはいけない

日立製作所 会長 庄山 悦彦 氏

2008/05/28 12:00
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庄山 悦彦 氏
写真:佐藤 久

 日本でのものづくりが,ここ数年見直されています。日本の製造業には海外進出にとても熱心だった時期がありますが,日本みたいに資源のない国が製造部門を全部海外に持っていったら,何にも残るものがない。

 あまり日本のことばかりだと,「このグローバルな時代に」と言われるかもしれません。しかし,企業が付加価値を継続的に生み出していくという観点から考えると,研究開発のスピードや機動性はやっぱり日本国内が優位なわけです。これが競争力の源泉ですから。それで,一時の海外進出一辺倒から日本復帰というか,多くの企業が日本に戻ってきたのではないでしょうか。ものづくり全体を再検討した結果です。

 僕は,日本人の探究心やこだわりの強さ,勤勉さと熱心さ,それにきめ細かさがものづくりに向いていると思っています。それに,チームワークを非常に大事にする。こうした国民性はとても重要なファクターです。泥臭くて注目されないかもしれないけど,それでも,ものづくりにこだわっていきたい。消費者の期待に応える,高度で高品質な製品を造ることに,生きがいを感じてやったらいいんじゃないでしょうか。

 しかし,お客様の要望は時代とともに変わります。以前の話で言えば,洗濯機なんて働く人や主婦の時間をものすごく節約しましたよね。若い人はご存じないかもしれないけど,昔は洗濯板でもみ洗いしていたんです。洗濯機ほど使う人を楽にしたものはないんじゃないかな。でも,じゃあ今,生活者の視点で何が欲しいかと聞いたときに,洗濯機にあこがれる人はほとんどいないでしょう。

 その時その時の生活者の思いに応えようとするなら,前もって種をまいておかなければなりません。残念ながら,ものづくりには時間がかかります。開発に10年単位の時間がかかることは多いですし,下手をすると25年もかかる場合もあります。だから研究所には,どんな方向に開発を進めるかを20年くらい前に言ってもらわなければ,ものはできないんです。今は携帯電話機や薄型テレビが世界的に普及し始めていますが,その研究開発の方向は20年ぐらい前に決めないといけない。目先のことだけを追ってもダメなんですよ。

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