趣旨

 松下幸之助を支えた右腕エンジニア・中尾哲二郎氏の存在はあまり知られていない。松下電器を世界企業にした幸之助のベスト・パートナー――それが中尾だった。
 中尾はどんな男だったのか。中尾が持つ技術哲学。部下である技術者たちのマネジメント。その暖かい人間性。中尾が遺したエピソードは、ものづくりの対象がハードからソフトへと広がった今でも、数多くの示唆を含んでいる。中尾と接した人々が今もなお心に残すエピソードを読み解く。

 「この記事は「経営とIT新潮流 2008」で連載中の「真髄を語る」から転載したものです。バックナンバーはこちらからご覧いただけます。」
山添 祥則(やまぞえ よしのり)
1970年松下電器産業入社。中央研究所やAVC社(現パナソニックAVCネットワーク社)商品開発研究所で研究開発や技術企画を担当後、1997年に組み込みソフト開発会社の松下AVCマルチメディアソフトを創業し代表取締役社長。2007年12月松下電器を定年退職。現在は組み込み機器の検証やテストを主業務とするアイテストの顧問、帝塚山学院大学非常勤講師、近畿大学シニアエンジニアを務める。