それに加えて、いろいろと発想のハウツウものがある。それらをザーッと見渡してみると、だいたいがチェック項目を用意しておき、それをキッカケにまったくこれまでと違う発想をしてみる方法になっている。一つの既成概念から外れ、他の分野や他の視点に置き換えて考えてみる水平思考と解釈してもいい。その反対が一つのことを深く掘り下げて考える垂直思考で、アイデアが行き詰まったときハマり込むのがこのパターンである。

 要するに、この種の発想法はすでにある物事にほかのものを切ったり貼ったり逆さまにしてみたりとこねくり回してみて、そこで新たなる発見をするというパターンで成り立っていると思えばいいわけだ。具体的にはこんなのがある。


■ランダム・シンキング 異質な情報を発想課題に取り込んでブレストする
■6色ハット 6つの着眼点から発想する(白;客観的な数字から発想、赤;感情や直感から発想、黒;ネガティブな観点から発想、黄;ポジティブな観点から発想、緑;空想から発想、青;思考プロセスから発想)
■SCAMPER これまでの商品定義を7つの要因で置き換えてみることからアイデアを創出する(S;Substitute置き換える、C;Combine組み合わせる、A;Adapt適応させる、M;Modify修正する、P;Put to other purposes他の目的に置き換える、E;Eliminate除く、R;Rearrange/Reverse逆にする)
■トヨタ5W1H 5回WHYを繰り返して原因を突き止めHOWを考え出す

 まあとにかくいろいろある。興味があるなら「クリティカル・シンキング」とキーワード検索してみれば紹介されているし、最近は出版物なども多く出ているから参考にしてくれ。

 で、話は振り出しに戻るが、アイデアを出せない最大の理由は「エリートたちは考える時間がない」でありそれを解決しなければ始まらないのだ。ハウツウなんかよりむしろこっちの方が俺は日本企業が着手すべき重要な問題だと思っている。

 さらに以上の理由でクリエイティブ・シンキングが注目され始めたが、実はそれだけではアイデアが出ないエリートを復活させる処方箋にはならないのだよ。言うなれば料理で言うと○○シンキングなるハウツウは電子レンジと同じ。けど、電子レンジさえあれば、チーン!でアイデア1人前が出来上がると勘違いされては困るのだよO君。わかるかね?

 つまり電子レンジは買ってきた、しかし食材はどうする?というのが大問題なのだ。脳がアイデアを出すということは必ず自己体験と情報の触発から閃きとなって脳裏にピカッ!と来るものだ。その体験情報が枯渇しているとしたら電子レンジはあっても入れる食材がないのと同じでアイデアは生まれてこない。朝から晩までビルの中にいてインターネットだけで情報収集していても、1000万人もいる日本のエリートの頭からは同じレトルト料理しか生まれてこないのだ。