設計・生産 ものづくり現場の競争力アップに貢献する
 

「鉄の反撃」はチームの力のおかげ

JFEスチール 専務執行役員 スチール研究所 所長 影近 博 氏

2008/04/22 18:36
出典:日経ものづくり、2007年5月号 、pp.6-8 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
印刷用ページ
影近 博 氏
写真:佐藤 久

 鉄鋼業界は,グローバル化が一気に進み,今や世界中がライバルです。世界規模の大会社や新興勢力である韓国や中国,こうした世界のライバルの陣容を見るとうらやましい限りですよ。優秀な人材はそろっているし資金も豊富。その資金をつぎ込んだ素晴らしい研究設備や試験プラントをそろえています。

 そこで考えるわけです。我々の強みは何だろうかと。僕は,JFEスチールで鉄の研究開発部門を担当していますから,それこそ真剣に考えます。そしてたどり着いた結論は,チームの力。組織としての対応力こそが我々の強みなのです。

 海外勢と日本では,研究者や技術者の行動パターンが違います。韓国や米国は基本的には個人主義なので,顧客から鉄鋼メーカーの担当者に「こういうことで困っている」と相談を受けても,情報はその担当者で止まってしまうことが多い。サンプル品を渡した場合でも,担当者だけが囲い込んでしまう。同じ社内の仲間にも黙っているわけですね。日本の場合は組織の中で情報が共有され,「どうするんだ,どうしようか」とみんなで一緒になって考えます。

 組織を重視することに対しては個人の才能をつぶすという批判もありますが,鉄鋼業は研究開発から生産までのプロセス全体を考えると,組織力が大きくものをいう構造になっています。

 というのは,鉄鉱石を溶かすところから,最終的に鉄の製品に仕上げるまでには,大規模で非常に長い工程があり,これを精緻に制御する必要があるからです。一部の工程でわずかな狂いがあっても製品品質を保てない。加えて,新たな製品をこの生産プロセスの中に組み込むには,研究開発部門と生産部門で密接な連携を取る必要があります。これらは個人の力だけでは無理。組織で問題や課題に対応することが不可欠です。まず調整すべき条件を特定し,どんな範囲で条件を設定したらいいか決めなければならない。しかも,長大なプロセス全体にわたって事細かにやる必要があります。こうしたノウハウが必要なので,海外勢が技術でキャッチアップするのは想像以上に難しい。10年たっても追い付かれないと言ったら怒られてしまいますが(笑)。

ここから先は日経テクノロジーオンライン会員の方のみ、お読みいただけます。
・会員登録済みの方は、左下の「ログイン」ボタンをクリックしてログイン完了後にご参照ください。
・会員登録がお済みでない方は、右下の会員登録ボタンをクリックして、会員登録を完了させてからご参照ください。会員登録は無料です。

【技術者塾】(9/14開催)
「エスノグラフィック・インタビュー」(行動観察実践編)

~潜在ニーズを見つけてヒット商品を生む~


ヒット商品づくりに必要な「潜在的な(未来の)ニーズ」を発見する方法を学びます。人間中心設計(HCD)と「エスノグラフィック・インタビュー」の概要を理解した後、演習を実施。観察やインタビューから新しいユーザー価値を見いだすまでの過程を体験的に学べるブログラムです。 詳細は、こちら
日時:2015年9月14日(月)10:00~17:00
会場:Learning Square新橋(東京・新橋)
主催:日経ものづくり

マイページ

マイページのご利用には日経テクノロジーオンラインの会員登録が必要です。

マイページでは記事のクリッピング(ブックマーク)、登録したキーワードを含む新着記事の表示(Myキーワード)、登録した連載の新着記事表示(連載ウォッチ)が利用できます。

協力メディア&
関連サイト

  • 日経エレクトロニクス
  • 日経ものづくり
  • 日経Automotive
  • 日経デジタルヘルス
  • メガソーラービジネス
  • 明日をつむぐテクノロジー
  • 新・公民連携最前線
  • 技術者塾

Follow Us

  • Facebook
  • Twitter
  • RSS

お薦めトピック

日経テクノロジーオンラインSpecial

記事ランキング