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ロボットと品質~人との共存を前提に評価

2008/04/14 13:00
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 近年,様々な分野への応用が進むロボットでは,従来の工業製品的な品質を評価するだけでなく,新たな価値を含めて総合的に品質をとらえる必要がある。ロボットは,機械,電気,コンピュータ,人工知能などの統合化技術であるうえ,商品形態,用途も様々であり,ロボットということで統一的に品質を議論することが難しい。

 従来,ロボットといえば産業用ロボットであったが,近年はペット型ロボットの「AIBO」に代表されるコミュニケーションロボットや介護ロボットなど,様々なロボットが発表されてきている。これらのロボットは,性能が高ければ高品質という単純な図式では無くなってきており,ハードウエア単体だけでなく,ソフトウエア,サービスを一体として品質を捉える必要がある。

 工場内の組み立てロボットに代表されるような産業用ロボットでは,教えられた動作を速く正確に再生することで部品を組み立て,精度の高い製品を低いコストで生産することが求められた。したがって,ロボットの高い品質とは,ロボットに動作を簡単に教えられ,教えられた動作を正確に再生し,故障が少ないといったことである。

 産業用ロボットに対し,次世代ロボットにおける品質とはどんなものになるのであろうか。これからのロボットは工場内の閉鎖された空間から,私たち生活空間の中にどんどん入り込み,人と共存していくことが期待されている。ここではパートナーロボットの中でも,筆者が開発に携わったAIBOなどを例に挙げ,その品質に関して検討を行う。

新しいロボットの提案が続々と

 家庭内で人と共存し,コミュニケーションをとるAIBOのようなパートナーロボットは,求められる機能が従来の産業用ロボットとは異なっている。そのようなパートナーロボットの中でも,ロボットとのコミュニケーション自体が目的であったり,コミュニケーションをとることで癒しや安らぎを与えることが目的であったりするロボットを「コミュニケーションロボット」と呼び,一方で家事を手伝ってくれるロボットなどを「お手伝いロボット」と呼ぶことにする。

 産業用ロボットの目的は,高性能な製品をバラつきを少なく造り出すことであり,そのために正確な動作が求められるのに対し,コミュニケーションロボットでは,生物らしく見せることで,人に安らぎや癒しを与えることが求めらる。そのため,外観や触感はもちろんのこと,自然な反応などを総合的に判断する必要がある。

 製品寿命という点では,通常の工業製品は物理的な故障などによって決まるが,コミュニケーションロボットはユーザーが飽きるという特有の理由によって,製品寿命が短くなってしまうという問題点がある。例えば,ユーザーがロボットに働きかける刺激に対してロボットの反応が毎回同じであったら,ユーザーが飽きてしまうであろう。コミュニケーションロボットでは様々な仕掛けを使ってユーザーを飽きさせない工夫が必要である。

 そのため,主に二つの方策がとられている。一つは,ロボットをより生物に近づけるために自律性を押し進める方法。もう一つは,コンテンツを充実させる方法である。AIBOでは,外界を認識し自分の置かれている状況とロボットに埋め込まれた情動によって行動を決定するという自律行動を組み込み,複雑な動作をさせることができた。さらに,長期的な飽きに対応するため,時間的経過によってシナリオを切り替えることで,AIBOが擬似的に成長するように見せかけている。

 コミュニケーションロボットは,ロボットと人との間で信号のやりとりが重要であったが,お手伝いロボットはどうであろう。例えば「お掃除ロボット」では,人がロボットに作業を指示し,ロボットは指示された作業を行えば良い。ロボットが掃除する過程の中で,障害物を避けながら部屋全体をくまなく掃除する,という自律的な行動は必要だが,ロボットと人との間で信号をやりとりする必要がない。コミュニケーションロボットでは,次に何をすべきかをロボットが自律的に決めるのに対し,お手伝いロボットでは,人に指示されるという大きな違いがあり,人の指示を間違えなく受け取り,指示された仕事の出来具合がロボットの品質に結び付く。

 医療や介護という分野においては,今後ロボットの活躍が期待されている。例えば病人を抱えたりといった力仕事を手伝うロボットや,パワースーツのように人の力をアシストするロボット等が提案されてきている。また,ロボットセラピーといわれる分野への応用も研究されている。動物と患者が触れ合うことで,精神的な健康を取り戻す心理療法としてアニマルセラピーがあり,身体的に改善するという効果もあるとともに,認知症などにも有効である。ロボットセラピーは,このアニマルセラピーのロボット版で,ロボットとのふれ合いを通して行う療法である。

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